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仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<17>
しおりを挟む「だね。……でも、俺でも涼しいと思うってことは、かなり冷房きいてるってことだよね? 紗世ちゃん、寒くない?」
繋いだ手を握り直され、失われつつあるかに思われた体温が息を吹き返した。
腕を引かれて、そのまま抱きすくめられてしまうのかと思ったけれど、よくよく考えなくても彼に限ってそんな乱暴なことはしないはずだ。
「私も暑がりなほうだし、全然大丈夫! 羽織るものも持ってるから」
疑ってしまったことに罪悪感をおぼえつつ、肩に掛けたカーディガンを見せた。
これは飲みすぎた日に着ていたもので、彼の愛用している柔軟剤を使って洗い上げてもらったおかげか、肌触りがさらによくなっている。
「よかった。でも、寒くなったらすぐ出ようね」
優しい声を掛けられ、感謝する傍ら、思考を巡らせる。
「うん。ありがとう」
買ってもらったショルダーフリルのワンピースの色味や質感は、カーディガンともマッチしている。
これはきっと偶然ではなく、手持ちの服とも合わせられるようにと彼が考えてくれた結果で――――。
「…………あ。俺、このシリーズ好きだったんだよね。懐かしいなあ。新作出てたんだ」
進行方向でもガラスの向こうの景品でもなく、並んで歩く横顔に釘付けになっていると、彼が一台のゲーム機の前で足を止めた。
「これ……って、シューティングゲーム?」
見ると、そのゲーム機には大きい銃の形をしたコントローラーがふたつ設置されていた。
上部にはおどろおどろしいロゴと血塗れの痛々しいゾンビの絵が描かれていることから、聞かずともどういうゲームなのかは理解できた。
「そうそう。よかったら、一緒にやらない?」
いつの間に取り出したんだろう。彼はコインを二枚、指で挟むようにして翳した。
「…………私、こういうのやったことなくて。完全に足手纏いになっちゃうと思うけど、それでもいい?」
「わかんないことはなんでも教えるし、フォローするから大丈夫!」
「じゃあ、お願いします。先生……!」
びしっと敬礼したあとに、はっと目を見開いた。『先生』ではなく『教官』と呼ぶべきだったかもしれない。
「先生って!」
彼もそんな様子を見て考えていることを察したのか、短く突っ込んで笑ってくれた。
「変だった?」
ゲームをスタートさせなくていいのかな?
綺麗な手元をぼうっと眺めていると――――。
「そうじゃなくて…………ちょっと興奮してきちゃった♡ 今度そういうプレイしない?♡♡ 先生同士でもいいし、先生と生徒でもいいから♡」
ほんの少し声を潜めた彼は、とんでもない告白と提案をしてきた。
「え!?」
聞き間違いかと視線を上げれば、細めた瞳の奥には焦げ付いた欲望が覗いていた。
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