59 / 171
仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<15>
しおりを挟む「最高の褒め言葉もらっちゃった♡ ありがとう♡」
「でも、優柔不断なのって、いちばん困るよね? せめて何をしたいかだけでも提案できたらいいんだけど……」
「鏑木くん? 何してるの?」
『この隙にキスしちゃおうかな』なんて企んでたけど、直前でばちりと大きな瞳が復帰して、そのままの距離で見つめ返してくるものだから。
「…………えーっと。……ああ、そうだった。俺からはまだだったなあと思ってさ。おはようのキス……♡♡」
迷った挙句、キスを強行したけど、一度じゃ足りなくて、何度もさらさらの肌に口付けた。
「ん♡ ふふ、擽ったいよ♡♡」
「どう?♡ 何かいい案は浮かんだ?♡」
「それがまだ何も…………」
「…………そうだ! 鏑木くんは行きたい場所ない?」
尋ねてきた彼女の声と表情は、数秒前に比べて明るい。少しは元気を取り戻してきたかな?
「俺? 色々思い付くけど……。今日も暑くなるみたいだから、片っ端から涼しくなれることしてくのとかは?」
「涼しくなれること? かき氷食べに行くとか?」
彼女の顔がもう一段階明るくなった。
「おー、かき氷もいいね!」
「あ……あれ? 違った?」
――――かと思えば、またしても自信なさげに見上げてくる。感情の切り替え早いな。
この既視感はなんなんだろうと思ってたけど、カメレオンのお友達がいる髪の長いお姫様かな?
「俺が考えてたプランにはないけど、めっちゃいいと思うよ。かき氷! グラニテとかソルベとかとも別物だし、今の季節に食べるのがいちばん美味しいよね」
「…………もしかしてだけど、一緒に食べたい?」
「大当たり! よくわかったね?」
「かき氷って、普通盛りが大盛りみたいな感じで、ひとりで食べるにはちょっと多いイメージあるし、なんとなく鏑木くんの考えそうなことがわかってきた気がして…………って、何様って感じだよね!? ごめんなさい……!」
どうやら彼女の中で俺は『何でもシェアして食べたい男』になっているらしい。
ちょっと違うといえば違うけど、あながち間違いでもないし、わざわざ否定することでもないか。
「嬉しいよ?♡♡ 俺のことわかってくれてるの♡ でも、紗世ちゃんにはもっともっと俺のこと知ってほしいし、俺にも紗世ちゃんのこともっともっと教えてほしいな♡」
「うん♡」
ひとつ頷いた彼女にキスをして、問いかけのために今一度口を開いて。
「そんなわけで、今日は納涼デートに決定でいいかな?」
もうひとつ頷いた従順な子羊ちゃんには、少しだけ深いご褒美のキスをあげた。
1
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる