yours-夢の罪過-

片喰 一歌

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仮初恋人遊戯

仮初恋人遊戯<14>

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<千尋side>
 
 
「と……とにかく、鏑木くんには二日もお世話になっちゃったから、今度おうちデートするときは私んちこっちにきてね? 頑張っておもてなしするから!」

 照れて静かになっちゃうかと思ったんだけど、全然そんなことなくて、なんとおうちに誘われちゃった♡♡ 

 吃ってたし、照れてはいたんだろうけど、当然、泊めてくれると思ってていいんだよね?

「もしかして、紗世ちゃんがご飯作ってくれたり?♡♡」

 下心はポケットのあたりに忍ばせて、家の間取りやレイアウト、全体のテイストに思いを馳せた。
 
 そっちのが変態くさいって? 言えてるかも。

「えっと……。お料理はあんまり自信ないから、特訓しておくね?」 

「やった♡♡ 楽しみ♡ どんなお土産持ってこっかな~♡♡」
 
 可愛い彼女の手料理もいいけど、並んで作業するのも実は憧れてたりして。

 勝手なイメージだけど、一緒にキッチンに立つのって、めちゃくちゃ仲のいい夫婦みたいでしょ♡♡

「お土産なんていいよ! 私だってなんにも持ってきてないし、私たちの仲なんだから気にしないで?」

「いやいや。元々来る予定なかったんだから、何も持ってきてないのはおかしいことじゃないでしょ。俺、お土産見るの好きだし、選ぶのはもっと好きだからさ。……でも、気の置けない存在って思ってくれてるのはめちゃくちゃ嬉しい♡」
 
 もう一度、頭ごと抱き寄せたら、妙に収まりがよくて、運命感じちゃったりもして。
 
「…………さて。未来の話はこのくらいにして、そろそろ今日のデートの話に戻ろっか♡♡ 可愛い可愛い俺の彼女さんは、お出掛け希望でいいんだよね?♡♡」
 
 昨日から俺の女彼女アピールが激しすぎるかもしれないけど、毎回好感触ってことはOKしてくれるつもりでいるんだろうし、いまのうちに慣れておいてもらわないと♡

 それに、『彼女』って単語を出すたびに綻ぶ顔が可愛いのなんのって。

「うん♡ 昨日とおんなじくらい暑いと思うけど、いいお天気だし、お外出たい♡♡ ……でも、どこがいいかなあ。さっきから考えてるんだけど、鏑木くんと一緒ならどこでも楽しいだろうし、逆に決められなくて……」

 閉じた瞼の下で眼球がせわしなくごろごろ動いてる。一所懸命考えてくれてるんだろうな。
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