yours-夢の罪過-

仮初恋人遊戯

仮初恋人遊戯＜7＞

「……ねえ、鏑木くん……♡♡ 脚でもぎゅーってしていい？♡♡」

　お悩み解決アドバイスにかこつけて返事を催促したつもりだったけど、躱されちゃった。

「脚？♡ よくわかんないけど、紗世ちゃんのしたいようにしていいよ♡♡」　

　両片想いの曖昧な関係も楽しいし、これはこれでいいか。
　
　そんな風に考えていたら、少しのごそごそのあと、脚が絡められた。

「そういうことだったか♡」　

「……私、脚まで全部こんな感じでぎゅーってして寝るの好きで、終わったあととかもお願いしてこのポーズで寝てもらうことも多いの。酔ってるときの私、鏑木くんにもお願いしなかった？」　

「されなかったよ。俺たちが全身ぴったりくっつけて寝るのは、これが初めて♡♡」

　答えながら、罪悪感で胸がちくちくした。

「そっかあ……。じゃあ、ちょっとだけ安心！　鏑木くんと全身でぎゅーしながら寝た記憶、なくしちゃってたらショックだもん」

　小悪魔な子羊ちゃんが脚をゆるゆる動かしてるおかげで、なんにもしなくても内腿の柔らかいお肉の感触が堪能できる。

　俺の脚使って気持ちよくなろうとしてない？♡

「そんなに気になる？　酔ってたときのこと」

「うん。でも、相手が他の人だったら、こんなに気になってなかったよ。『またやっちゃった』って反省はするけど、きっと『覚えてなくてよかった』って思ってた。昨日のこと詳しく知りたいって思うのは、私が鏑木くんのこと好――――……」

　あえて指摘しないで好きにさせてたら、徐々に脚の動きが鈍くなってきて、告白に繋がる言葉も不自然に途切れて――――。

「…………そこで寝ちゃうか～……」
　
　そのあとも数十秒待ってみたけど、寝息しか聞こえてこなかった。
　
　さっきまで起きてたし、あともう少しでお返事もらえると思ったのにな。

　今からキスしますってタイミングで双子のウツボにボートひっくり返されちゃった気分。

　……なんて、さすがに喩えが限定的すぎるかな？

「まあ、約束の時間はまだ先だもんね。俺は待つよ。とびっきり可愛い告白、期待していいよね？」

　おでこにキスしたら、口角が幸せそうににっこり上がったように見えた。気のせいでも嬉しいな。
　
「…………しかし、こっちから提案したとはいえ、寝相が悪いのまでは予想してなかったなあ……。というか、この前こんなだったっけ？」

　お持ち帰りしちゃった日はほとんど動かないでお行儀よく寝ててくれてたのに。

　まあいっか。無防備で可愛いし、普段の君なら選ばないような色気のないパンツが見えちゃってるのも、完全オフモードって感じで妙にそそるし。