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親友転序
親友転序<19>
しおりを挟むお風呂から出たあと、汗が引ききる前に急いで彼女の元へ戻ったら――――。
「あ! おかえりなさい。お水あったからもらっちゃった。昨日よりおっきいサイズの」
俺の姿を認めた彼女は、まだ半分くらい残ったペットボトルをふりふりして言った。
「すっごく冷たくて美味しかったよ! ごちそうさまでした」
冷蔵庫から出して時間が経っているんだろう。表面に浮かんだ水滴がぽたぽたと滴り落ちている。
「……お酒じゃないんだ? 紗世ちゃんの好きなやつも好きそうなやつもいっぱい入ってなかった?」
入る前のあれは『好きなものを好きなだけ飲み食いしていい』って意味だったんだけど、わざわざ申告するなんて律儀だなあ。
「入ってた。ものっっすごく入ってた……! 『ここに住みたい』って声に出しちゃったくらい、理想の冷蔵庫だった…………。天才のラインナップ……。おかげで冷凍庫チェックするの忘れちゃったもん」
ぷうっと膨らんだつやつやの頬は、ヨーヨーを思い起こさせた。回して競うほうじゃなくて、夏祭りの屋台で釣るほうの。
もし中高あたりで出会えてたら、お祭りデートしたかったな。
ヨーヨー釣りとか金魚すくいとか得意だから、気に入ったの取ってあげられたのに。
UFOキャッチャーでもいいけど、あれはこれといって季節感もないし、ちょっとばかり風情に欠ける。
今からでも別に遅くはないか。
せっかく夏祭りシーズンだし、近所で行われる大きめの花火大会も近かったし。誘うだけ誘ってみようかな。
今度は子ども扱いしてるって怒られちゃうかな?
涼しげな模様の描かれたカラフルなヨーヨーや、鮮やかな金魚の入った袋を提げる浴衣姿の君が見たいだけなんだけど。
「あはは! 誰もいないのに、声に出しちゃったの? さっきも言ったけど、俺はいつでも同棲の準備出来てるよ?」
「そういう冗談は…………えっと……。ドキドキしちゃうから、程々にしてほしい……な?」
『一緒に住む』を少し言い換えただけなのに、彼女はその言葉通り、もじもじし始めた。
「……程々? いいのかな、そんなこと言って。俺の思う程々は、紗世ちゃんの思う程々じゃないかもしれないのに……♡」
「!!」
警告の皮を被った予告まで食らって、ついに黙り込んじゃったけど、沈黙はYESだって解釈しちゃうよ?
「…………それ、もう飲まないんだったら、もらっちゃっていい?」
彼女が固まっている隙にペットボトルを奪った。
ハートのストローでカップルドリンクを飲む夢は残念ながらまだ叶えられてないけど、残量を見た感じ、一本のペットボトルをちょうど半分こすることになりそう。
「いいけど、もうぬるくなっちゃってるし……っていうか、私の飲みかけ…………」
制止の声に聞こえなくもなかったけど、口元にめちゃくちゃ視線を感じる。
ほんとは期待してるんだよね?
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