yours-夢の罪過-

片喰 一歌

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親友転序

親友転序<15>

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「…………で、このあとはどうしようか? 一緒に俺んち帰る?」

 内緒のプレゼントを受け取ってもらえたところで、本題に入る。

 ペット扱いなどしていないことをきっちり示すために言葉を選んだら、かなりストレートなお誘いになった。
 
「またお邪魔してもいい……?」

 袖をつんつんと引いてきた彼女のために少し屈んだら、小さな声で尋ねられた。

「やっとシャンプーされる気になった?♡」

 また怒られるかなと思いつつ、反応が見たくて問いかけてみれば――――。
 
「…………それって、どっちの意味? ペットみたいに思って全身洗ってくれるってこと? 本当に頭だけ洗ってくれるって意味?」

 彼女は怒るでも照れるでもなく疑問符を浮かべた。

「洗ってほしい?」

「えっと、一緒に入るのはもう決定なの……?」
 
 この機を逃すまいと顔を覗き込んだ途端、彼女はおろおろし始めた。

 自分から聞いてきたくせに。可愛いなあ。

「あっはは! 『一緒にお風呂入ってくれないと泊めない』とかないから、安心してよ。言ったじゃん。大歓迎だって!」 

 ――――お風呂は別でも、同じベッドで寝てもらうことにはなるんだけどね。

 でも、俺は悪い男だから、直前まで忠告なんてしてあげないよ。
 
「ほら。そろそろ帰ろう?」

「でも、下着が…………」

 早く二人きりになりたい一心で語りかけたら、彼女はぽつりと心配事を明かした。
 
 即決できなかった理由、もしかしてそれだったりした?

「下着か! 忘れちゃってたな。まあ、覚えててもサイズわかんないから買えなかったか。コンビニ……は下しか売ってないかな」
 
「……もしかして、あのお店ならまだ開いてるかな? ちょっと見てきていい?」

 彼女が指した先には、最初に入ったのとは違う衣料品店があった。

「いいよいいよ。紗世ちゃんさえ嫌じゃなかったら、ついてってもいいかな?」

「一緒にきてくれるの? 嬉しい! 行こ行こ!」

 と腕を引かれて、頬が緩んだ。

 日中、ペットショップに入ったときみたいだけど、バランスを崩さずに済んだのは二回目だ慣れてきたからかな。

「下着のことしか頭になかったけど、パジャマも買わなきゃだよね。……この時期着るのは大量にあるし、買うどころか捨てたいくらいなんだけどなあ……」

 店内に入ってすぐカゴに下着を入れた彼女は、早足でルームウェア売り場へ向かっているところだった。

「だったら、買うのは下着だけでいいんじゃない?」

 後半は独り言で、声に出してるつもりもなかったのかもしれないけど、実際声に出てたし俺の耳にも届いちゃってるから、私見を述べさせてもらった。

「え? でも…………」

「俺のでよければ、なんでも貸すよ。そうだなあ……。体格差的に、Tシャツがちょうどワンピースみたいな感じになりそうだし?」

「確かに?」

「それが嫌だったり、よさそうなのがあったら買ってったらいいんじゃないかな?」

「……じゃあ、そうしよっかな? ありがとう! あともうちょっとだけ探してみるね」
 
 振り返った彼女に頷いてみせた。
 
 ――――さて。帰ったら何を着せちゃおうかな?
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