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親友転序
親友転序<6>
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<千尋side>
「よくご存知で……。でも、飲みすぎて浮腫んでるから、今日はちょっと気になるっていうか……。もう気持ち長めのパンツ見繕ってもらえないかな?」
両手を合わせた彼女が上目遣いで見てくる。何この可愛い子。家だったら襲ってた。
追加の労力かけて申し訳ないとか思ってるんだろうな。そんなことないのに。
好きな子のお願い聞いてあげるシチュエーションって気分いいよね。大好き。なんでも叶えてあげたくなっちゃうよ。
……ところで、みんな。今の聞いてた? 紗世ちゃんが『パンツ』って発音したところ。
何が言いたいかなんて、簡単にわかっちゃうよね。
我ながら『こういうとこ小学生から一向に成長してないな』と思うけど、下着の名称と下に履く洋服の名称が同じほうがどうかしてるんだし、仕方ない気もする。
「んー。……確かに俺も、そこらへんの野郎どもに紗世ちゃんの美脚をお披露目したくはないんだけどさ……。紗世ちゃん、身長も可愛いじゃん? だから、なるべく目線上に持ってったほうが全体のバランスいいんじゃないかと思うんだよね」
にやけそうになるのを懸命に堪えながら口を開いた。
ポイント稼ごうと思ってこういう言い方になったわけじゃなくて、俺は彼女のサイズ感を心から可愛いと思ってる。
元から小さい子が好きだったわけじゃないよ?
身長も含めて紗世ちゃんを好きになっただけ。
手を繋いで歩くのは少し大変だけど、きっとベッドの上ではちょうどいい身長差なんじゃないかな。……楽しみだね?
「そう……なんだよね……。私もスタイルアップ目当てで短めの選ぶなんてしょっちゅうだし」
彼女は本気で迷っているようで、全身に邪な視線を受けながら考え込んでいる。
この感じは……もうワンプッシュ必要そうかな?
「それとね、別に紗世ちゃんの感覚を否定したいとかじゃないんだけど、少なくとも俺には全然浮腫んでる風には見えないよ。元々が綺麗だし。あと、下の……ええと、なんていったっけ。スカートっぽいけどスカートじゃない、にんじんみたいな名前のやつ」
好きな総菜を発表する福々しいドラゴンのような物言いになってしまう自分に苦笑する。
スカートに見えて実はスカートじゃないなんて、優しい男を演じているくせに本当は全然優しくない俺みたいで、ちょっと親近感をおぼえていたりして。
そんな事情もあって、彼女がそれを選んでくれたら嬉しいんだよね。
「キュロットのこと?」
彼女は床に置いたカゴの中から、その一着を丁寧に取り上げて翳した。
視覚的な知識はあっても名称がさっぱりなせいで、いまいち決まらないけど、彼女は少しも面白がったりしないで教えてくれるから、ファッション用語には一生明るくないままでいいかもなあ。
「ああ! そうそう、キュロット! そっちもすっごく似合ってると思うから、今日一日そのコーデの彼女と過ごしたいんだけどな~……」
声を落とし、問題の服に未練がましい視線を送ると、彼女はそれをもう一度カゴの中に戻した。
「よくご存知で……。でも、飲みすぎて浮腫んでるから、今日はちょっと気になるっていうか……。もう気持ち長めのパンツ見繕ってもらえないかな?」
両手を合わせた彼女が上目遣いで見てくる。何この可愛い子。家だったら襲ってた。
追加の労力かけて申し訳ないとか思ってるんだろうな。そんなことないのに。
好きな子のお願い聞いてあげるシチュエーションって気分いいよね。大好き。なんでも叶えてあげたくなっちゃうよ。
……ところで、みんな。今の聞いてた? 紗世ちゃんが『パンツ』って発音したところ。
何が言いたいかなんて、簡単にわかっちゃうよね。
我ながら『こういうとこ小学生から一向に成長してないな』と思うけど、下着の名称と下に履く洋服の名称が同じほうがどうかしてるんだし、仕方ない気もする。
「んー。……確かに俺も、そこらへんの野郎どもに紗世ちゃんの美脚をお披露目したくはないんだけどさ……。紗世ちゃん、身長も可愛いじゃん? だから、なるべく目線上に持ってったほうが全体のバランスいいんじゃないかと思うんだよね」
にやけそうになるのを懸命に堪えながら口を開いた。
ポイント稼ごうと思ってこういう言い方になったわけじゃなくて、俺は彼女のサイズ感を心から可愛いと思ってる。
元から小さい子が好きだったわけじゃないよ?
身長も含めて紗世ちゃんを好きになっただけ。
手を繋いで歩くのは少し大変だけど、きっとベッドの上ではちょうどいい身長差なんじゃないかな。……楽しみだね?
「そう……なんだよね……。私もスタイルアップ目当てで短めの選ぶなんてしょっちゅうだし」
彼女は本気で迷っているようで、全身に邪な視線を受けながら考え込んでいる。
この感じは……もうワンプッシュ必要そうかな?
「それとね、別に紗世ちゃんの感覚を否定したいとかじゃないんだけど、少なくとも俺には全然浮腫んでる風には見えないよ。元々が綺麗だし。あと、下の……ええと、なんていったっけ。スカートっぽいけどスカートじゃない、にんじんみたいな名前のやつ」
好きな総菜を発表する福々しいドラゴンのような物言いになってしまう自分に苦笑する。
スカートに見えて実はスカートじゃないなんて、優しい男を演じているくせに本当は全然優しくない俺みたいで、ちょっと親近感をおぼえていたりして。
そんな事情もあって、彼女がそれを選んでくれたら嬉しいんだよね。
「キュロットのこと?」
彼女は床に置いたカゴの中から、その一着を丁寧に取り上げて翳した。
視覚的な知識はあっても名称がさっぱりなせいで、いまいち決まらないけど、彼女は少しも面白がったりしないで教えてくれるから、ファッション用語には一生明るくないままでいいかもなあ。
「ああ! そうそう、キュロット! そっちもすっごく似合ってると思うから、今日一日そのコーデの彼女と過ごしたいんだけどな~……」
声を落とし、問題の服に未練がましい視線を送ると、彼女はそれをもう一度カゴの中に戻した。
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