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最悪の目覚め
最悪の目覚め<13>
しおりを挟む(でも、普段使いの下着は、もっとたくさん持ってたはずなんだけどなあ……)
胸を張って言えることではないけれど、今まで何年も平日はほとんど洗濯機を回さない生活を続けてきたし、特に支障はなかったというのに。
なぜ急に休日に着ける分がなくなってしまったのか。
(…………あ、そっか。サイズ合わなくなったの、まとめて捨てちゃったばっかりだ。でも、合わないの使い続けるのもあれだし、デザインとか着け心地とかはよくてもサイズがなかったりして、買い替えが追いついてないんだった……。けど、とりあえず今はここをどう乗り切るかだよね……)
今日着てきたのは、おろしたてのワンピースだった。
ひと目惚れして衝動買いしたはいいものの、いざ袖を通してみたら少し胸がきつかった一着だ。
試着せずに買ったことを後悔したけれど、昔からこういうことはたびたびあったのに、いつまでも学習しない私が悪い。
我慢すれば着られないことはないけれど、着用時間が長くなるほど締め付けが気になってくるし、血流だって悪くなる。
色々なことに目を瞑れば、むしろ外してもらえてよかったのかもしれない。
「どうしたの? 急に腕なんて組んじゃって」
ぐるぐる考えていると、不思議そうな声が私の意識を現実世界へ呼び戻した。
さりげなく胸の前で腕を組んだ気でいたけれど、甘かった。
「なんかそういう気分で! こうしてると、頭が考えるモードになってくれる気もするし!」
会話の途中で放置してしまって申し訳ないけれど、なんて返せばいいのかわからない。
親切な鏑木くんはきっと、お洋服も下着も洗濯してくれたんだと思う。
…………たぶんそのときに見られちゃった……よね。男を誘うことに全振りした下着だけじゃなくて、補正なしの残念な胸も。
「そっか。紗世ちゃんは形から入るタイプなんだね」
苦し紛れのひと言を信じてくれた彼は、うんうんと頷いている。
…………本当にいいひとだなあ。
そうだよね。
もし見られちゃってたとしても(というか、ほぼ確実に見られちゃってると思うけど!)、親切心からの行動だったんだろうし、鏑木くんだって私の胸なんか見たくなかったよね。
「『元々着てた服を脱がされて、別の服を着せられてた』……。ヒントのつもりだったけど、答え言ってるみたいなものじゃない?」
「うん、もうばっちり! ほんとありがとね。私のこと介抱してくれて!」
アイスティーの瞳に促されるようにして感謝を述べると、彼はなぜか妖艶に笑った。
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