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最悪の目覚め
最悪の目覚め<8>
しおりを挟む「……んー。迷惑、とかじゃないんだけど……」
ちらりと盗み見た彼女は、まさに顔面蒼白といった具合で、続く言葉を待っている。
赤くなったり青くなったり忙しいな。
「絶対なんかあったときの言い方……! 私、なにしちゃったの……? もしかして、すでにリバースしちゃったあととか?」
『確かに数時間前までは君の出した液体でそこかしこびっしゃびしゃだったけど、ここでしたわけじゃないから安心して』……って言うのは簡単だけど、別の意味で気にしちゃいそうだよね。
それにしても、すごかったな。意識なくても、あんなになっちゃうことあるんだ。
「ごめんね! 次会うとき、私のおごりで美味しいお肉食べに行こう? ほんとはお誕生日祝いに連れてこうと思ってたんだけど、先倒しで!」
昨夜の痴態を詳細に思い出していたせいで返事も返せずにいると、彼女は両手を合わせて頭を下げてきた。
記憶なくしてて不安だろうに、こんなときでも自分以外が優先なんだ。
黙ってたから、ますます不安にさせてたっていうのもあるのかな……。会話中にトリップする癖は、俺の唯一の欠点かもしれない。
「そんな計画立ててくれてたんだ。誕生日祝いってことは、結構いいお値段するんじゃない?」
俺たちはただの友達なのに、彼女は誕生日を毎年かなり豪勢に祝ってくれる。
友達であれなら、恋人のことはどんなふうに祝ってるんだろう。R-18的なオプションがつきまくる感じかな。
もちろん俺もそれこそ恋人にもしたことないようなお祝いで返すから、年々豪華になってって…………。
この調子だと、数年後には彼女の大好きなテーマパーク貸し切るくらいのレベルになりそうだなってとこ。
別にお金には困ってないし、好きな子にはとことん貢ぎたいから構わないんだけど、恋人とか夫婦とかになったら、どう祝えばいいんだろうね?
気が早い? ……そうかな? 案外、すぐそうなっちゃうかもよ。
「安くはないけど、お誕生日って特別でしょ。ちゃんとお祝いしたいの! それに、私も食べたいから気にしないで? 鏑木くんのお誕生日をだしにしてるだけだから!」
……だとしても、誕生日に対するスタンスが好きすぎるし、俺と一緒に行きたいと思ってくれてるのが嬉しいんだって。
ほんっと、いちいち可愛いな。表情も仕草も全部、文句の付けようがない。
でも、高い肉なんかより君のほうがおいしそうだよ?
…………じゃないか。そういう台詞は心のなかで呟くんじゃなくて、あとで本人に聞かせてあげないと。
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