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最悪の目覚め
最悪の目覚め<7>
しおりを挟む「すごいじゃん。俺も紗世ちゃんに触発されてハマっちゃってさ。結構うまく淹れられるようになってきたから、飲んでもらって感想聞けたらな~って思ってるんだけど」
布団を掛けたまま膝を抱き、視線を送った。
「そうなの? 飲んでみたいけど、こんな朝から悪いよ……」
彼女は人に頼られるのが好きだから、こっちから依頼する形でだったら乗ってくれるんじゃないかって期待してたけど、案外手強いな。
あと、君にそんなつもりないのはわかってるけど、主語がないと色々と想像が膨らんでいいね?
「どうして?」
「…………だって、ちゃんと淹れようと思ったら、気をつけることいっぱいあって結構めんどくさいし……。私たち……」
彼女の言葉は尻すぼみに消えていった。
環境にも配慮した柔らかい素材で出来たペットボトルは、ごく弱い力を加えただけで簡単に凹んでしまう。
ほとんど力入れなくてもカタチが変わっちゃうものっていうと、どうしてもアレが脳裏を過る。
触り心地のよさでいえば、彼女の双丘が圧勝だろうけど。あ、ぼかした意味なくなっちゃった。
極上の感触を思い出して下卑た笑みを浮かべている場合じゃないな。
大方、『カレカノでもないのに』とか言うつもりだろう。
……いや、これだと俺の語彙になっちゃうか。彼女なら『恋人じゃないのに』だ。
――――どっちにしても、そんなこと言わせないけど。
「まあ、とりあえずは大丈夫そうだし、アイスティーはあとにしよっか。俺が飲みたくなったら付き合ってよ。それならいい?」
手のひらを上に向けて差し出すと、指先が乗せられた。
「うん。それだったら……」
ペットボトル捨ててきてあげようと思ったんだけど、従順なわんちゃんみたいで可愛いし、向こうから触れてきてくれて嬉しかったから、黙っておこう。
「よかった!」
「…………あの……。私、鏑木くんになにか失礼なことしなかった? おうちに泊めてもらって、ベッドまで占領しちゃってたみたいだから、迷惑かけちゃってるのは確定だけど…………」
やっと笑顔を見せてくれて、ほっとしたのも束の間。彼女の声は急速に元気を失っていく。
同じベッドに入ってるっていうのに、少しも疑問を抱いてないのかな?
信頼されてるって喜ぶべきところなのかもしれないけど、男として意識してもらえてないみたいで複雑…………というか率直に言って嫌。納得行かない。
「ああ。記憶ないって言ってたもんね?」
実際、美味しい思いしかしてないし、迷惑かけられたどころか、君のほうが俺になにかされちゃってる側なんだけど、どう伝えたもんかな。
話して聞かせてあげてもいいし、観せてあげてもいい。
掛け布団の下の股間がまた熱を帯びた。
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