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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【裏】
第15話『乞われて変わって蛇蛇蛇蛇(ジャジャジャジャ)~ン!(中編)』
しおりを挟む「え!? ……そ、そっか!! そのほうがすぐに出来るもんね!」
大蛇になっ(て、あれこれさせてもらって変身を解い)たあと、すぐ事に及べるように服を脱いでおくのだと早とちりしたあたしは、着替えているところが見えないようにとりあえず思いっきり右を向いた。
勢いをつけすぎて首を痛めてしまうところだった。
「何考えてるの♡ グミちゃんの頭の中、そういうことばっか?♡ それも確かにそうだけど、服着てたらグミちゃんが大きい蛇を楽しめないでしょ。僕の変身と同じくらい大きい蛇と触れ合える機会なんて多くないだろうし。毒もないから、好きなようにしたらいいんじゃないかな。僕はNGないから」
痛む部分を擦っていたら、白夜はあたしの手に自分の手を重ねて、真っ直ぐ――つまり自分のほうを――向かせようとしてきた。
「白夜はNGじゃなくても、あたしがNGなの……!!」
攻防――――と言えるかどうかは審議が必要かもしれないが、白夜はそこまでしてあたしに着替えているところを見せたいのか。
「着替えシーンも見ててくれていいのに」
ひょっとしたら、彼にはそういう性癖(※ここはあえて広く認知されてしまった誤用のほうの意味で取ってほしい。)があるのかもしれない。
「…………見せたいの?」
「別に。でも、グミちゃんはオトコのハダカなんて見飽きてると思ったんだけどな」
「! べ、別に見飽きるほど見てないし……! 見飽きてたとしても、好きなひとのは特別でしょ……♡」
「特別なのに見ないの? ひとりで我慢大会してるってこと? 勝ち負けもないのに。我慢するだけ損じゃないかなぁ、それ」
白夜はあたしがそっぽを向いているのが気に入らないようで、挑発まで仕掛けてきた。
「こんだけ話して、まだわかんないかなぁ……!? あたし、好きなオトコにはほんっとに弱いの! その『弱い』だけど、言い換えると『免疫ない』になるの……!! ここまで言えば、さすがにわかるんじゃないかと思うけど!?」
わかっていて乗るのもいかがなものかと思えど、黙って耐えることも可愛く恥じらうこともあたしには難しかった。
「…………ふ。そうだね。でも、たぶんグミちゃんが心配しているようなことにはならないから、僕のほう見てくれない? キャパ超えそうならすぐ逸らしていいから、一瞬だけでも」
半ギレで捲し立てて申し訳ない気持ちが顔を出してきたあたりで、白夜が控えめに笑いをこぼした。
「……ね? こっち向いて、グミちゃん♡」
いくら客側とはいえ、あたしの御機嫌取りまでは業務内容外だろう。素直に声のしたほうを向くと――――。
「うわぁ……! 綺麗な白蛇様……!!」
全裸の成人男性ではなく、壮麗な白蛇が佇んでいた。
「いつの間に変わってたの!? 本当に魔法みたい!」
「まぁ、魔法だし。すごいのは僕じゃなくて団長だ。『様』なんて付けなくていいよ。今の僕は白蛇だけど、この姿でも名前は白夜だから、今まで通り呼び捨てで」
大きな口から、白夜の声が先ほどと同じ低さと音量で聞こえてくるのが少し妙な感じだ。
「あたしが蛇ちゃん好きになったきっかけの蛇ちゃんがいてね……♡♡ 神社で飼育されてる白蛇様なんだけど、その子がおっきくなったみたいな感じだったから……。ごめんね」
「…………蛇の神様か。ひと目惚れ?」
尋ねられたわけでもないのに咄嗟に『様』付けしてしまった理由を説明したら、意外にも白夜が話を広げてきた。今の彼は蛇なので、表情に変化は見られない。
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