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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【表】
第31話『目線の高さにドッキドキ!?』
しおりを挟む逸る気持ちを抑えに抑え、階段を一段ずつ下りたあたしは、ようやく白夜くんと同じ目線に立った――と思いきや、とんだ思い違いをしていたらしい。
「…………背、あたしより高いじゃん!!!」
柵越しにでなく、お互いの顔がはっきりわかる状態になって発した第一声としては、明らかに正しくないと言えよう。
「そうだね」
つかつか歩み寄ってくる白夜くんがあたしの目の前まで来たら、今見えているよりもさらに――――。
少し考えれば、予測できていたことだった。
ただ、先ほど指摘があったように、段差があることにも気付かず、馬鹿みたいに彼の顔ばかり見ていたあたしには想定外の事態だった。
あと、あたしも一応、成人女性の平均身長ギリギリくらいはある――とはいえ、参照したのは結構前のデータだった気がしなくもない。
「段差三つ分もあったんだ。しかも、ひとつひとつ高さがあって歩幅の小さい人には優しくない。……僕、相当小さく見えてた?」
「う゛……。すみません…………っ」
今や白夜くんは手を伸ばすまでもなく触れられる距離にいた。パーソナルスペース、意外と狭め!?
「どうして『すみません』?」
「オトコノヒトって、身長のこと気にする人多いから……! 少しでも低く思われるのは気に障るかなぁって、思って……!!」
両手を胸の前でわたわた横に振った。
「そういうものなんだ。……ああ、うん。そういうものかも? お姉さんは自分より小さくて可愛いオトコが好きだった?」
「背? うぅん……。考えたことないなぁ。寝ちゃえばそこまで気になんないし!」
ベッドが視界にフレームインしてくるせい(にしたけど、そうじゃなくても言っていた気がするのは内緒だ)で、余計な情報まで渡してしまった。
「僕と一緒に寝たいの? 入ってきたばっかりなのに大胆なんだね。……いや、大胆だから入ってこれた……? そうじゃないとしたら、そういうことがしたくて入ってきてくれたの?」
「うぇ!? いやいやいや!! あ、今の『いや』は逆接であって、否定とかNOとかの『嫌』じゃなくて……!!」
「いいよ、わかってる。今訊いたのは、お姉さんの好みを知るためだけ…………じゃなくて」
白夜くんは何を思ったか、あたしの頭に手をぽすんと置いた。
「さっき、あなたが思ったことと真逆。……お姉さんが思ってたより小さくて……。近くで見たらもっと可愛くて、意地悪しちゃったんだ。ごめんなさい。柵がないっていいね。本当の顔が見えるし、手を繋ぐ以上のことも出来る」
「…………出会ったばっかで『寝たい』とか引いたよね」
婉曲ともとれるし、文字通りの意味ともとれる表現を選び、彼の出方を窺った。
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