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第1幕『半人半蛇(蛇人間)』【表】
第17話『美白だけど紅顔の美少年』
しおりを挟む「何なの、これ!? 説明して!!」
突如として湧き上がった激しい怒りが、ありきたりな非難として噴出した。
台詞だけ追えば、恋人の浮気現場に幸か不幸か居合わせてしまったシーン――いわゆる修羅場のようではないか。
「さんざ言ってきたじゃねェか。『サーカス』だ、ってな」
なんでもないことのように言うおにーさんの態度が気に障る。
だからって、所属している団員に対して何をしても許されるはずがないだろう。閉じ込められる謂れはないだろう。
それが契約内容の一部なのだとしても、明らかな人権侵害だ。しかも、招待客限定とはいえ、こんなに堂々と――――。
「珍獣とか猛獣ならわかるよ? ……だけど、白夜さんは人間でしょ……!?」
努めて冷静に言ったつもりだが、後半に行くにつれ、悲しみが顔を出した。
「蛇人間だぜ? 姉ちゃんたち何の変哲もねェ普通の人間と同じだって考えちまうほうが――『優しさのつもりで同じ枠に入れちまうほうが迷惑かも』とは考えねェのか?」
「…………確かに。感情的になりすぎた。ごめん、おにーさん…………」
詭弁や急場凌ぎでしかないのかもしれない。でも、当事者たちと付き合いのあるおにーさんのほうが、少なくともあたしよりは彼らの考えを理解しているはずだ。
「いや。そういう反応をするお客人はチラホラいた。アンタも優しいし、覚悟はしてたさ……」
「……今のはクラウン自身の考えとは少し違うと思う。お客様向けの対応マニュアルに沿って説明してるだけだ」
おにーさんが自嘲に満ちた笑みを浮かべた刹那、それまで黙っていた白夜さんが会話に参加してきた。
「え? そうなの?」
「…………おい、白夜……。アンタの言ったことは事実だが、それをお客人本人に言う奴があるか!?」
冷や汗が流れるより先に本人に確認を取ったが、当のおにーさんはあたしの思い込みから来る理不尽なクレームよりも白夜さんの語ったことのほうを重く捉えているらしい。
「えっと、ゴメンナサイ……? でも、僕はクラウンのこと、このお姉さんに誤解されたままなのは嫌だったから……」
信じられないものを見る目が白夜さんに向けられているが、白夜さんはどうして怒られているのか飲み込めていないようだ。
演者(?)本人より案内人的な役割のおにーさんのほうがエンターテイナーの矜持持ってるとかどうなのと思わなくはないけど、天然素直クールは好みだ。
こんな言い方は失礼かもしれないが、ますます白夜さんのことが気に入った。
何よりまだ十代にしか見えない見た目が最高。ビバ、紅顔(美白だけど)の美少年……!
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