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HONEYDEW RAIN
HONEYDEW RAIN<XXXIII>
しおりを挟む「早くきてほしい?♡ 甘えんぼさんでかわいいねぇ♡♡ 俺も早くきみの近く行ってあったまりたいんだけど、どっち行ったらいいかなぁと思って♡」
彼の視線はわたしの顔だけでなく身体全体に注がれている。
(タオルは巻いてるけど、湯船に浸かってるとこ見られるの恥ずかしいなあ……。もっと湯気が厚かったらいいのに。でも、入ってきてもらったら気にならなくなるよね。もう少しの辛抱だ……!)
「どっちって?♡」
「きみの前に入ったらいいか、背中側に回ったらいいかって話♡♡」
身振り手振りをまじえて言った彼をまじまじと見つめる。言われてみれば、湯船においてもポジショニングは大事だ。
(恋愛ドラマとか少女漫画とかだと彼氏さん旦那さんがヒロインの後ろにいるイメージだけど、向かい合って入ることがないってわけでもないのかな? 広さの問題でそうすることが多いだけ? 詳しくないからわかんないや)
彼にもあったまってほしいし、なによりわたし自身も彼を近くで感じたい。さっさと決めてしまいたいのに、なかなか答えが出せない。
(窓華ちゃんに聞いておけばよかったなぁ。でも、雨降り出したの放課後だし、どのみち聞けなかったか。……うちのお風呂広いから、お顔見てお話しするのもいいなぁ……。彼はどっちにきたいとかあるかな?)
一般的にどうするのが普通かということだけを気にしていたというよりは、前にきてもらうのも後ろに回ってもらうのも捨てがたいと思っていたせいで。
「浴槽広いし、たぶんきみは俺が好きなほうに入れるように真ん中に移動してくれたんだと思うけど、一応は希望聞いておきたくて♡♡ 向かい合って入るのと、きみが俺の脚のあいだに入る感じになるのとどっちがいいかな?♡♡」
先手を取られてしまった。いまから彼の希望を聞くにしても、自分の答えを伝えてからだ。
「えぇっと……♡♡」
前と後ろを見比べて迷うふりをしてしまったけれど、心は最初から決まっていた。彼はどちらがいいのだろう?
「きみの好きなほう教えて?♡♡ 俺はどっちでもハッピーだから♡♡ 言うの恥ずかしかったら、入ってきてほしいほう空けてくれてもいいよ♡♡」
じ……っと見つめていたら、彼は浴槽の縁に両肘をつき、手のひらで頬を包むようにして見上げてきた。
(かわいい♡♡)
探りをかける作戦は失敗に終わってしまったけれど、そういうことならありがたく希望を通させてもらおう。
「…………じゃあ、こっち♡ いっぱいいっぱいで君と目合わせられないと思うから……♡」
わたしが選んだのは後ろだった。答えたあと、そそくさと身体の向きを戻す。
「了解♡ 気を付けるけど、脚とかぶつかっちゃったらごめんね」
そのすぐあと、彼は断りを入れて背後のスペースに入ってきた。
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