三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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HONEYDEW RAIN

HONEYDEW RAIN<XXX>

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「…………そういうお店……というか、サービスとかだと『本番』って言い方するし、いちばん大事……というかお楽しみメインなのかもしれないし……。俺だってきみの膣内ナカに入れてもらいたいけど」 

 いつになく慎重に言葉を吟味している彼が最後まで話せるように手を握ったり抱き締めたりしたいのに、こんなときに限って彼はわたしの手の届く位置にいない。

「……わたしも。わたしも君に入ってきてほしい……」

 しかし、言葉でなら伝えることができる。なけなしの勇気で喉の奥から押し出した言葉は、思いの外大きく響いた。ひと仕事終えたばかりの喉がからからに渇いている。

「ありがとう♡♡」
 
 かつて湿度の高いバスルームで喉の渇きをおぼえたことなんてあっただろうか。設定温度を高くしたとき以外ではなかったはずだ。

 うっとりしてしまうほど甘い声で述べられた感謝は胸をときめかせはするけれど、反芻するごとに喉の渇きはひどくなっていく。ひと粒頬張るだけでいつまでも満足感が残って飲み物が欲しくなる高級チョコレートのようだと思った。
 
「…………でも、もしするとしても、挿れるだけじゃ嫌だよ。きみのことかわいがらせてほしい。いちばん深い場所に受け入れてもらえるのは嬉しいけど、もっと他の方法でもきみのこと気持ちよくしてあげたいし、きみのかわいい姿見せてもらえたら俺は挿れなくてもいいし、イけなくても大満足♡♡」

 歴史を遡ってみると、チョコレートは媚薬として使われていたことがあるのだということを教えてくれたのは、いま話している彼だっただろうか。

「それはわたしが嫌。君と一緒に気持ちよくなりたいし、君にも気持ちよくなってもらいたいもん。……というか、ほら……! そもそも、一方的にされるのって恥ずかしくないかなぁって…………。わがままだとは思うんだけど……。本当にごめんね?」

「恥ずかしいだけ?♡ 申し訳ないとか思ってるわけじゃない?♡ どっちだとしても、きみのわがままなんてわがままのうちに入らないから気にしないでほしいけどね♡」

「あ…………洗うの終わった?」

 なんとか話を変えられないかと、少し大きな声で問いかけた。

「うん♡♡ もう終わっちゃった。よく気付いたね?♡ 早すぎて気になった?♡ いつも俺はこのくらいで洗い終わるよ。きみとする予定だったら倍以上時間かけて丁寧に洗ってたけど♡」

(……君だったらお風呂入らないでしてもいいんだけどなぁ……♡♡ わたしは絶対する前に入りたいけどね)

「想像しちゃった?♡♡ してもらえるように言ったんだけどね♡♡」

 笑いを含んだ声が届けられ、のぼせてしまいそうになった。そう長い時間浸かっているわけでもないから、完全に彼のせいだ。
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