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HONEYDEW RAIN
HONEYDEW RAIN<Ⅺ>
しおりを挟む「確かに……? じゃあ、『このタイミングで妊娠したら、わたしの人生計画が狂うから』……とか?」
彼の背中に黒くて大きな翼を幻視しながら問いかけた。
わたしには彼をはじめとする同級生たちのような立派な将来の展望はないけれど、彼はわたしを買い被っているようだから、考えられることといえばそのくらいしかなさそうだ。
「んー……。そういう側面も完全にないとは言い切れないんだけどさ……♡ この前見せたでしょ♡♡ すぐに着けられる場所に置いてあるゴム♡ 正しく使えば高い避妊効果が保証されてるし、必要以上にびくびくすることもないと思うんだよね。それでも不安だって言うなら、待つとか他の手段との併用とかだって視野に入れてるし」
「…………ちゃんと考えてくれてるんだね。いままでそういう人いなかったからびっくりしたけど、君の考えとか性格とか考えたら全然意外じゃなかったかも」
「……そっか……。きみの元カレたちにはいろいろ物申したいし、それだけじゃ俺の腹の虫はおさまらない気もするけど、そのあたりはひとまず置いておくことにするよ」
柔らかった目付きが途端に鋭くなった。
(わたしに向けられてるわけじゃないのはわかるけど、目力すごいからちょっと居心地悪いな……。というか、シンプルに怖い! ……こないだ悪い夢見てて眠れてなかったって話したし、内容もちょっと話したからかなぁ。なんか空気がピリピリしてる気がする)
元カレのことに触れたのが気に障ったのか、あるいは彼らがわたしにしたことに腹を立てているなんて可能性も高そうだ。
「…………っと。いけないいけない。きみを怖がらせちゃダメだよね♡♡」
彼は両方の頬をばちんと叩き、いつもの優しい笑顔に戻った。
「まだわからない?♡ 俺がだーいすきなきみを抱こうとしない理由……♡♡」
一瞬にして甘い甘い雰囲気に包まれ、半ば混乱状態の頭をどうにか回転させる。
「記念日は大切にしてくれるけど、『付き合って何日目だから、こういうことをしよう』ってほど細かい人でもないもんね? 本当にわからないから教えてほしいんだけど…………」
降参の意を示すために両手を挙げた瞬間、彼の瞳の奥を怪しい光が横切っていった。
「……OK♡ 俺がきみにまだ手を出してないのはね、抑えがきかない気しかしないからだよ♡♡」
「…………それだけ?♡♡」
「それだけ♡」
「だけど……♡ そしたら、我慢しすぎて爆発しちゃったりしないの?♡」
「…………ん? 言われてみれば、そうだな……? まずい。その可能性は考慮してなかった……!! このままじゃ、きみが危ない……! 具体的には、次の日起き上がれなくなっちゃうかもしれない!」
彼は再び両手を頬に当てているけれど、今度は痛そうな音はしなかった。
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