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Interlude
Interlude<LXXXI>
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デートの予定もすんなり決まったけれど、毎度のことながら彼の家からわたしの家までの道のりもあっという間だった。
「今日も送ってくれてありがとう。気を付けて帰ってね」
家が近いのは嬉しいけれど、並んで歩ける時間が短いのは寂しい。歩みの遅くなるわたしを急かさずにずっと隣で歩いてくれた彼にお礼を言って、背を向けようとしたけれど――――。
「待って待って♡ 忘れ物♡♡」
彼は別れ際の挨拶をする代わりに、少し強めに手を引いてわたしを引き留めた。
「忘れ物? ご、ごめんね? わたし、またなにか君の家に置いてきちゃってた……!?」
しんみりした気分は彼のひと言で消え去ったけれど、また迷惑を掛けたのではないかという不安に襲われたのと同時にシンデレラ扱いされてしまったことまで思い出し、声が上擦った。
「違う違う♡ 紛らわしい言い方してごめん♡ 忘れ物じゃなくて、俺が渡したかったのはお土産♡♡」
鞄の中身を確認しようとする手をそっと掴まれ、かわいらしいギフトバッグの持ち手を握らされた。
「お土産?」
「まぁ、さっきのお菓子詰めただけなんだけど♡ よかったらおうちで食べてよ♡ このあとも勉強するんだろうし、糖分必要でしょ?♡♡」
(いつのまに……って、テーブルの用意してくれてたときだよね。やることなすことスマートでかっこいいなぁ……)
彼はギフトバッグの持ち手を握るわたしの手をぎゅっと包んだ。
「え? いいよいいよ! 今日だけでも本当にいろいろしてもらってるし、これ以上もらえないって……!! お菓子も君が用意してくれたんだし、持って帰って食べちゃっていいよ。君だって全部好きなものだったでしょ? わたしたち、好み似てるもんね?♡」
「もちろん好きなんだけどさ、テーブルの上見たでしょ? あれでも一部だったんだよ? あんなにいっぱいひとりじゃ食べきれないもん。余っても大丈夫なようにと思って常温でも日持ちするのに限定させてもらったし、明日は明日で別のスイーツ用意したいから、もらってよ♡♡ ね?♡♡」
「えぇ? だけど…………」
「せっかくここまで持ってきちゃったしさ♡ このまま持って帰るのもなんか悲しいじゃん。だから、ね?♡♡」
どんなに軽いものだとしても荷物を増やさないように……という気遣いだけでなく、わたしが断れないようにあえて家に着いてから渡すことに決めたのだとしたら、彼はとんでもない策略家だ。
「うぅ……。わかった。ありがたくもらっておくね? でも、勉強のお供とか『お夜食にどうぞ♡』ってことでしょ? いますぐ勉強再開しても、休憩するのは…………」
増えて嬉しい数字といえば試験の点数くらいで、体重計の数字がいま以上に増えてしまうのは少しも喜ばしいことだとは思えない。
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