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Interlude
Interlude<LXXX>
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「ううん。いいんだよ。こんなの俺が勝手にしたことだし、このくらいまたいつでもできるから気にしないで! あぁ、でも…………♡♡」
下げた頭を一向に上げられないでいると、彼が話し始めた。
「今度は君も一緒に回れたらもっと楽しいだろうなぁ♡♡ 実はこれ買いに行ってるときさ、きみのこと考えながらお店回ってたんだよね♡ 幸せそうに食べてるきみのお顔とか、お礼言ってくれてるところとか♡♡ そんなわけで、張り切って予定の何倍もいろいろ買い込んじゃった♡♡」
ふたりで一度に味わうにはどう考えても多いスイーツを抱えて帰宅する彼の姿は、子どもたちの笑顔のために大量のプレゼントを抱えてトナカイを駆るサンタクロースと重なる気がした。
「これ、全部おんなじ日に買ったの? ……こんなたくさんのお菓子、ひとりで持って帰ってくるの大変だったでしょ?」
「言われてみればちょっとだけ大変だったかも? 途中でひとつチョコかなにかが入った袋を落としちゃったけど、親切な人が拾って持たせてくれてね。だけど、きみが思ってるほど大変じゃなかったから、そんな申し訳なさそうにしないで?♡♡」
親指と人差し指で顎をくいっと持ち上げられた。優しい彼がふいに見せる強引な仕草に弱いわたしは、目を見て頷くことしかできなかった。
「…………でも、きみのこと考えるたびに幸せになるのとおんなじくらい寂しくもなって…………。家着くまでは我慢したんだけど、玄関で荷物下ろしたら一気にきちゃって、めそめそしてたらいつのまにか真っ暗になってて、慌てて電気点けてお菓子棚に仕舞ったっていうね」
「そうだったんだ…………。じゃあ、次は絶対誘ってね?♡♡ わたしもショーケース見てる君のこと見たいし♡ そしたら、予算も荷物も半分こできるから、お外でお茶できるよ?♡♡」
思い切って切り出すと、寂しそうな笑顔は、魔法にかけられたように一瞬で輝き出した。
「そうだね♡♡ 約束♡ 今度は一緒に買いに行こう♡ ……楽しみな予定増えちゃったなぁ♡♡ いつにするかはまた今度話し合おうね♡」
わたしから彼をデートに誘ったのは、きっと今回がはじめてだ。目を閉じた彼が近付いてきて、そのまま唇が重なった。
「…………いまじゃだめ……かな?♡」
「いま?♡ ……ああ、そっかそっか♡♡ これからきみのこと、おうちまで送っていくんだもんね♡ 俺もきみとのお外デート待ちきれないし、ちょうどいいや♡♡ 日程決めちゃおっか♡」
寂しさが完全になくなったわけではないけれど、制服の上に上着を羽織る彼を見ても、心はあたたかいもので満たされたままだった。
下げた頭を一向に上げられないでいると、彼が話し始めた。
「今度は君も一緒に回れたらもっと楽しいだろうなぁ♡♡ 実はこれ買いに行ってるときさ、きみのこと考えながらお店回ってたんだよね♡ 幸せそうに食べてるきみのお顔とか、お礼言ってくれてるところとか♡♡ そんなわけで、張り切って予定の何倍もいろいろ買い込んじゃった♡♡」
ふたりで一度に味わうにはどう考えても多いスイーツを抱えて帰宅する彼の姿は、子どもたちの笑顔のために大量のプレゼントを抱えてトナカイを駆るサンタクロースと重なる気がした。
「これ、全部おんなじ日に買ったの? ……こんなたくさんのお菓子、ひとりで持って帰ってくるの大変だったでしょ?」
「言われてみればちょっとだけ大変だったかも? 途中でひとつチョコかなにかが入った袋を落としちゃったけど、親切な人が拾って持たせてくれてね。だけど、きみが思ってるほど大変じゃなかったから、そんな申し訳なさそうにしないで?♡♡」
親指と人差し指で顎をくいっと持ち上げられた。優しい彼がふいに見せる強引な仕草に弱いわたしは、目を見て頷くことしかできなかった。
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「そうだったんだ…………。じゃあ、次は絶対誘ってね?♡♡ わたしもショーケース見てる君のこと見たいし♡ そしたら、予算も荷物も半分こできるから、お外でお茶できるよ?♡♡」
思い切って切り出すと、寂しそうな笑顔は、魔法にかけられたように一瞬で輝き出した。
「そうだね♡♡ 約束♡ 今度は一緒に買いに行こう♡ ……楽しみな予定増えちゃったなぁ♡♡ いつにするかはまた今度話し合おうね♡」
わたしから彼をデートに誘ったのは、きっと今回がはじめてだ。目を閉じた彼が近付いてきて、そのまま唇が重なった。
「…………いまじゃだめ……かな?♡」
「いま?♡ ……ああ、そっかそっか♡♡ これからきみのこと、おうちまで送っていくんだもんね♡ 俺もきみとのお外デート待ちきれないし、ちょうどいいや♡♡ 日程決めちゃおっか♡」
寂しさが完全になくなったわけではないけれど、制服の上に上着を羽織る彼を見ても、心はあたたかいもので満たされたままだった。
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