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Interlude
Interlude<LXXIX>
しおりを挟む「あ……。だけど、君の淹れてくれるミルクティーとか用意してくれる甘いお菓子につられて付き合ってるわけじゃないよ!?」
誤って零してしまったお砂糖を一ヶ所に集めるように大急ぎで否定の言葉を集めてきたけれど、取ってつけたように聞こえてはいないだろうか。
「ふ…………あっははははっ♡♡」
どうやらすべては杞憂だったらしい。
つっかえつっかえの言葉に耳を傾けていた彼は、途中から身長のわりに大きな手で口を覆ったけれど、いかにもお人好しそうな下がった眉や細めた目から口元の様子を想像するのは容易いことだった。
「大丈夫大丈夫♡♡ そこはなんにも心配してないから♡ もしきみが俺の用意する甘いもの目当てで付き合ってるんだったら、こんなふうに膝の上なんて乗ってこないと思うしね……♡♡」
口元を隠していたはずの彼の手は、次の瞬間にはすでにわたしの腰に移動していた。
「ひゃ……っ♡♡」
シャツの下に潜り込んできた手にくびれをいやらしく撫でられ、媚びを含んだ声を上げて彼の胸に倒れ込んでしまった。
「おっと♡♡ いらっしゃい、お姫様♡」
(インナー着ててよかった……♡♡ 薄いのだから、触られた感じはたぶんあってもなくてもほとんど一緒だったんじゃないかと思うけど…………って、余計なこと考えない考えない……!)
「…………俺、きみのくびれ好きなんだよね♡ きゅって締まってて♡ 触ってみると意外と柔らかいんだ♡♡」
妄想を振り切ることに成功して安堵していたのに、耳のそばでの囁きがわたしの思考を再びそちらへ導いていく。
(そんなのはじめて聞いたし、指の動きがえっちすぎるよぉ……♡♡ 腰はいいけどおなかはぷよぷよだから、前のほうは触っちゃ…………やだやだ♡ やっぱりだめなの♡♡ 腰なでなで気持ちいいからそれ以上しないでぇ♡♡ パンティーライナー着けてないのにパンツぐしょぐしょになっちゃうぅ……♡ 帰ったらお風呂直行しなきゃ……♡)
過ぎた快感のせいで涙目になっているのを悟られたくなくて、顔を横に向けたら、かわいらしいスイーツの数々が目に飛び込んできた。
やや強引な気もするけれど、お菓子の話題は少し前に出ていたはずだ。ラブラブモードの彼には申し訳ないが、話題を変えさせてもらおう。
「そういえば、お菓子…………! 結局、全然食べられなかったね。こんなにたくさん用意して、綺麗に盛り付けまでしてくれたのに、ごめんなさい……」
いろんなお店を回って買い集めるとなると、それなりに時間がかかるはずだ。申し訳なくて頭を下げた。
彼にぶつからないように気を付けていたから、本当に頭だけちょこんと下げるだけの格好になっていたわたしは、ただ項垂れているだけに見えたかもしれない。
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