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Interlude

Interlude<LXXI>

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「うん♡♡ さっきだってつけたくてつけたくてどうにかなっちゃいそうなのを必死に抑えてたんだよ?♡♡ 別に感謝を強要したいとかじゃなくて、ただの裏話的な感じで捉えてほしいんだけどさ♡♡」

 彼は何度もわたしの手を握り直している。
 
「わかった♡ ……だけど、その代わり、君も気負わないでいつもみたいに話してね。裏話って、『知ってても知らなくても支障はないけど、知ってたら何倍も味わい深かったり楽しくなったりする内輪話』のことだもんね?♡♡ だから、どう思われるかとか気にしないで話してほしいの。……わたしには」

 不安や恐怖、緊張といった感情を表に出さないように努めている彼の脆い部分を特別に見せてもらえているようで嬉しい。

「わたしはきっとどんなきみも大好きだし、いまはまだ知らないきみのこと教えてもらって、びっくりしたりいま以上に好きになっちゃったりすることはあっても、冷めたり嫌いになったりとかはないと思うから。……お願いね?」 

 ――――けれど、彼が見せてくれているのは一部だ。それ以上踏み込んでいいのかという迷いがないわけではなかったけれど、嫌ならきちんと拒否してくれるだろう。

「…………きみにはかなわないなぁ。一生かかっても勝てる気がしないよ♡♡」

 安堵のため息のあと、手にこもっていた力が抜けていった。安心感を与えて、なおかつ彼の心の扉を開くというミッションは成功したらしい。

「それはわたしの台詞なんだけどなぁ……♡」 

「じゃあ、お言葉に甘えて、いつも思ったり感じたりしてることをそのまま言わせてもらうことにするけど……♡♡」

 彼の手はわたしの手を離れていった。ぬくもりの去ったあとの手は平熱を下回ってしまったかのように冷たく感じられた。

「叶うなら全身にキスマークつけて、きみを薔薇の妖精さんみたいにしたいと思ってるよ?♡♡ そしたら、だぁれも寄ってこられないだろうし♡♡ ……でも、そんなのはまだましなほうで、本当はもっと強制的に……直接的にきみを俺のものにしたい……。にしちゃいたいって思ってる…………」

 しかし、彼の言葉は、合わせた手のひらに感じていたぬくもりとは比にならないほどの熱を頬とお腹の奥に宿していった。
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