108 / 203
Interlude
Interlude<LXVIII>
しおりを挟む「爪の伸びが早い原因? 睡眠不足って聞いたことある気がするけど、本当かどうかまでは調べたことないなぁ」
幸い、彼の問いかけのおかげで気分の切り替えはスムーズにいった。
「あぁ! 俺もその説は半信半疑なんだよね。よく寝たほうが伸びるって言う人もいるし。髪だって身長だってちゃんと睡眠取ったほうが伸びるんだから、そっちのほうが信憑性高そうかなって思うけど、面白さで言ったら睡眠不足のほうが伸びるの早い説を支持したいな」
答えの出ていることいないこと問わず、彼はこうして議論を戦わせる(正反対の意見でも興味深く聞いてくれるおかげで、戦わせている感は薄いけれど)ことが好きな性分だ。
はきはきと、そして生き生きと、時には百面相もまじえて展開していく持論はとても聞き応えがある。
「面白さって! 言いたいことはわかるけど」
「面白さも大事だけど、理由はそれだけじゃないよ? ……寝不足ってことは『夜更かしが続いてる』ってことでしょ。つまり、大好きなひとと寝る間も惜しんでイチャイチャした結果、爪が伸びちゃうとしたら……?♡ ラブラブパワーで細胞が活性化しちゃったみたいでなんかよくないかなぁって♡♡」
密着感を保ったまま、彼の手が移動していく。指のあいだに指を挿し込まれ、手のひら同士が密着した。
「…………なにそれ♡ 前向きすぎじゃない?♡」
水かきの部分に感じた刺激に微かに震えながらも、呆れたようなひと言を返す。――――本当はこんなことが言いたいんじゃないのに。
「きみと毎日イチャイチャして寝不足になっちゃうのはいいけど、いま以上早く伸びるのはお手入れが面倒になっちゃうよ……! 一応は女子なのに面倒とか言っちゃだめかもだけど」
「別にダメってことはないでしょ♡ ……だけど、そうだね。雑草みたいなスピードで伸びられても困っちゃうよね」
意外なことに、彼は前半部分には反応を示さなかった。
(いまできる最大限のつもりだったんだけど、したいって露骨にアピールしすぎて引かれちゃったかな……)
遠回しに好意を返そうとして空振りするくらいなら、最初から素直に『好き』と言えばいいだけなのに。視界が一度、大きく揺れた気がした。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる