三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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Interlude

Interlude<LXII>

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「平気♡ ……というか、君だったらいいよ?♡ ちょっと痛いことされたくらいで嫌いになったりしないから……」

 彼がいつもしてくれるように、指通りのいい髪を手櫛で梳いた。

「本当?♡♡」

 もっとしてほしいという意思表示だろうか。彼が手のひらに頭を擦り付けてくる。

「うん♡ …………というか、君が何をしてきても嫌いになんてなれないと思うよ、わたし……」

 求めに応じて頭を撫でたら、彼は心地良さそうに瞼を閉じた。

「そっか♡ めちゃくちゃ愛されてるんだね、俺♡♡ そう言ってもらえるのはもちろん嬉しいんだけど、嫌われそうだから傷付けたくないとかとは違って。……そりゃ、嫌われたくなんてないけどさ、そうじゃなくて……」
 
 にっこり上がっていた口角を下げ、唇を少し尖らせて、言葉を探している彼のことを待つ。

「なんて言ったらいいんだろうなぁ……。曖昧な表現になっちゃうけど、やっぱり大事にしたいんだよ。きみに傷を付けるんじゃなくて、むしろきみが傷付かないように守る側でいたい…………みたいな感じかな? いまどきこんなこと言う奴いないかもしれないけど、俺は本気でそう思ってて」

「君はわたしのココロもカラダも守りたいって思ってくれてるんだね。……わたしは『他の人相手だったら絶対に許せないことも、君にならされてもいい』って思ってるし、それがわたしの『好き』の形だけど、いま話してくれたことが君の『好き』の形なんだったら、無理に曲げなくていいよ」

 苦しそうに寄った皺も、いつもよりつっかえつっかえの話も、愛おしくて愛おしくて――――。だけど、わたしまで苦しくなってきて。
 
「……というか、曲げないでほしい。わたしは君のそういう優しいところも大好きだから」 

 するすると舞い降りてきた言葉を伝え終える直前に、上目遣い気味の彼の頭を抱いた。
 
「これされるの、今日だけで二回目だね?♡♡」
  
 はだけた胸に顔の下半分ほどを埋もれさせ(られ)ていた彼はしばらくそのままでいたけれど、ややあってむくりと起き上がった。

「ごめんね? 二回とも予告なしで……」
 
「ううん♡ ご褒美だから全然いいんだけど♡♡ きみのこと味見させてもらって柔らかいのに包まれてたら、いろいろヤバくなってきちゃって……♡♡ 悪いけど、もうちょっとだけ触らせて?♡」
 
 彼はたったいままで顔のあった地点よりも下のほうに手を伸ばしてきた。
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