三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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Interlude

Interlude<LI>

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「えぇっとね?♡ ……だから、どこ触ってもらっても気持ちよくなっちゃって、どこが感じる場所なのかわからなくなっちゃうんじゃないかなぁ、って思った……というか……? うまく言えなくてごめんね」

 いつものわたしのあまのじゃくさと照らし合わせて考えれば、『どこでも好きに触って』という意味に受け取られかねない。

「きみはいつもそう言って謝るけど、俺はきみの言葉がわかりにくいなんて思ったことないよ?♡ 一生懸命伝えようとしてくれるのも嬉しいし、説明自体も順を追ってて丁寧だし♡♡ 俺、過程すっ飛ばして結論言いがちだから、見習わないとって思ってるくらいだよ?♡」

 彼がわたしの言葉をどう解釈したのかはわからない。説明を終えた喉を労るかのごとく施される口付けには、下心ではなく真心がこもっていた。

「そう? 君に伝わってるんだったらいいけど……」
 
「『にだったら、どこを触られても気持ちいい』、か♡♡ 最上級の褒め言葉じゃない?♡♡ めちゃくちゃ嬉しいし、本当にそうだったらいいなと思うけど、確かにどこがイイのかはちょっと判別しづらくなりそうではあるね?」

 彼の唇が次にキスを贈ったのは、わたしの唇だった。舌を絡める情熱的なものではなかったけれど、苦々しい気持ちを反映させていた口内は、瞬く間に甘い幸福に満たされていった。

「んー♡♡ そうだなぁ……♡ そういうことだったらさ、性感帯見つけるんじゃなくて、いっそっか♡♡」

 そう持ち掛ける彼の瞳はどこまでも澄んでいた。曇りなき善意は時に悪意よりも恐ろしい。

「え……っ?♡ わたしの全身を?♡」

「そう♡ きみの言ってることが本当なんだろうなってことはわかるよ。全然疑ってない。でも、おんなじ『感じる』でも、『めちゃくちゃ気持ちいい』ところと『まぁまぁ気持ちいい』ところみたいな程度の差はあると思うんだよね。それを、全部を極限まで高めたらどうかなって♡♡」

 おしゃべりを中断しているあいだにも、唇とその周辺に口付けが施される。もしかしたら、開発はすでに始まっているのかもしれない。
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