三千世界の鴉なんて殺さなくても、我々は朝を迎えられる

片喰 一歌

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Interlude

Interlude<XLVI>

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「……ぁ♡」

 直後、胸に添えられていた――というか、わたしによって添えさせられていた――彼の手が再度妖しい動きを始めた。

「なんでまた揉み始めたの?♡♡ もう終わりかなって思ってたんだけど……♡」

 好奇心に負けて視線を落としたら、胸を包み込む手はなんとも煽情的に蠢いていた。

(大失敗かも……♡♡ 見なきゃよかった……♡ 見たらもっと恥ずかしくなって…………!!)

「え?♡♡ だって、きみ、俺にすごくかわいいお顔で訴えてこなかった?♡」

 顔を背けたわたしを覗き込むように近付けられた彼の顔さえも直視できない。ご機嫌に弧を描いた口元だけは、なんとか視認できた。

「…………かわいいお顔……?」

「そう♡♡ きみにかわいくない瞬間なんてないけどさ、俺は特にきみの…………♡♡」

 微笑んでいた彼は、なにかを言いかけて口を噤んだ。

「わたしの……?」

「…………いや、なんでもない♡♡ きみはどんな俺でも受け入れてくれると思うけど、下手に正直に言って怖がらせたくない……というか、俺が怖がられたくないだけかもしれないけど……」

 顔を上げて視線を合わせたけれど、今度は彼がわたしの視線から逃れるように笑顔を作った。
 
「俺の腕だっていつまでも離そうとしないし、まだ揉まれ足りないのかな~と思って♡♡ でも、嫌だったらやめるよ。勘違いしてごめんね」

 言い終わると同時に、手の動きもぴたりと止まる。『恥ずかしいから早く終わって』と願っていたのが嘘みたいに、物足りなさを感じてしまった。

「…………ううん、嫌じゃない♡♡ 『揉んで♡』って言えない代わりに目で訴えたとかじゃなくて、君が……その、いつもと違う雰囲気……? で、すごくかっこよかったから、見惚れちゃっただけ♡♡ ……だから、びっくりはしたけど、ほんとに嫌じゃなくて……♡♡」

「…………っ♡♡ なんっでこの子は軽率にそういうこと言ってくるかなぁ……っ♡♡ 今日は……というか試験終わるまでなにもしない予定だったけど、ちょっと前倒しさせて……♡ 火を点けたのはきみのほうだから、責任取ってもうちょっと揉まれてね?♡♡ このくらいのことは許してくれるでしょ?♡♡」
 
 遠回しの催促が功を奏したのか、彼は拘束されていないほうの手も使って、わたしの胸を揉み始めた。
 
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