76 / 187
Interlude
Interlude<XXXVI>
しおりを挟む「ヒントはもうこのくらいでいいか♡♡ ……ってことで、いまからお待ちかねの答え合わせに入るけど♡ さっきから、きみと俺は全然別のことについて話してて、会話が嚙み合ってるようでそうじゃなかったみたい♡♡」
わたしが咀嚼を終えたのを見計らった彼は、紅茶を含んでから口を開いた。
「……あっ! そっかぁ! 君とわたしは違う『せき』について話してたってこと……で合ってる?」
先刻の会話を思い返している途中で、ぱっと閃いた。すべてがわかったあとだと、同音異義語というのはヒントどころかほとんど答えだったと思う。
「ピンポーン♡♡ 急に『気が早い』とか『年齢がどう』とか言い出すから、なにかと思ったよ♡♡ 気付いたときは感動したなぁ♡ 『なるほど、そっちの籍か~♡♡』って♡♡」
「君は『隣の席にきてもいいよ』って言ってくれてたんだよね?」
期せずしてコントを繰り広げてしまっていたことを内心恥ずかしく思いつつ、平静を装って確認を取った。
「そう♡ でも、きみにきてもらうんじゃなくて、俺がきみのほうに移動してもいいんだ♡ どっちが移動したって隣同士にはなれるからね♡♡ どうする?♡ 俺、いまからそっち行こっか?♡♡」
彼は立ち上がりたくて仕方ないみたいに、両手をテーブルにつけている。
「…………ううん。今回はわたしが君のほう行っていいかな……?♡」
しかし、わたしはいつも彼にしてもらうばかりだ。形の有無にかかわらず、一方的に与えられてばかりで、なかなか思うように返せていない。
この程度でチャラにできると思っているわけではないけれど、少しでも『好き』が伝わればいいと思いながら静かに席を立った。
「ダメなんて言うわけないじゃん♡♡ おいでおいで♡♡ カップは俺が移しておくから♡」
彼はその宣言どおり、わたしのカップを移動させ、その手で椅子を引いてくれた。
「きたきた♡♡ 待ってたよ~♡ 真正面に座るのってカップルのド定番っぽいけど、ちょっと寂しい気がするのは俺だけ?♡」
「……んー? どうかなぁ?」
テーブルに対して垂直――――ではなく、少しだけ膝を彼のほうに向け、足を揃えて座った。
「寂しいって!! まず、全然近くにいる気しないし、『あーん』してあげたくてもテーブル小さくないと届かなくてできないもん」
さっと確認した彼の膝もわずかにわたしのほうを向いていた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる