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Interlude
Interlude<XVI>
しおりを挟む「そ、そういうもの…………なのかなぁ? ……ごめんね。質問ばっかりで……。わたし、そういうの全然わからなくて」
「いいっていいって。お嬢にはいっつも勉強見てもらってるし! 相互扶助、大事っしょ?」
カメラの前にいるかのようにピースサインを作った彼女はとてもいい子だ。
派手な見た目から色眼鏡で見られることも少なくないけれど、彼女の優しいところも賢いところもわたしは大好きだった。
「カズミン……!!」
わたしへの呼びかけが『お嬢』か『アンタ』の二択なのが玉に瑕だというだけで。
「んで、さっきの答えだけど。付き合ってたら、どっかしら『いいな』って思うとこ見っかると思うんだよねー。見つかんなきゃ別れりゃいーんだよ。どっちが悪いとかじゃないじゃん。相性の問題。ま、全面的に向こうがダメ男の可能性はあるけど。アンタは重く考えすぎ!!」
「……確かにそうかも?」
彼女の主張は圧倒的で、何の疑問を抱くこともなく、『そういうものか』と思った。『そういう価値観が普通なのか』と学習した。
「名前は忘れたけど、さっきの奴もさー、付き合ったからって結婚まで考えなくていーかんね。ぼさっとしたお嬢でも、許容範囲ってやつはあるっしょ? そこ超えてきたら、遠慮なく切んな?」
「許容範囲?」
「そそ。たとえば、アタシだったらー……他の女とふたりで出掛けたら、ソッコー切る! これはもう絶対。アタシという最高の彼女がいながら他の女と遊ぶとか理解できねーし。アンタもそういうの、いまから考えとけよな!」
「うぅん……。別れって、そんな一方的に告げていいものなのかなぁ……?」
「いーのいーの。お嬢は女の子なんだし、警戒しすぎってことはないっしょ。自分の身は自分で守んないと。面倒なコトになりそうだったら、アタシも助太刀してやっからさ。ひとりで悩むんじゃねーぞ?」
「……ありがとう、カズミン。すっごく頼もしい」
人生初の彼氏ができたこと自体には、正直言って少しの感動さえおぼえなかったけれど、そのことをきっかけに友達の大切さを知ることができたので、そう悪い面ばかりでもなかった――――というのは、喉元を完全に過ぎたいまだからこそ出てくる感想なのかもしれない。
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