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彼と彼女の放課後
彼と彼女の放課後<XXVII>
しおりを挟む「でも、ちょっと待って……? さっきのって結婚してなくても一緒に住めば叶うことだよね? 変なこと言っちゃったかも……。忘れて?」
『よく言えました』のご褒美スタンプが連打される。わたしが真っ白な台紙だったら、すでにその面積の何割かはスタンプで埋め尽くされていたことだろう。
心はますますぬくもりで満ちていったけれど、彼が聞きたかったことは他にあったはずだし、明かしたのはわたしの妄想のなかでも相当清らかな部分だけだった。
「ううん♡ 絶対忘れてあげない♡♡ きみが俺と離れたくないのがわかって嬉しかったから♡ でも、そんな結婚生活を送りたいなら、まずは…………♡♡」
「籍入れないと……だね?」
「そう♡ 籍と式が先♡♡」
リズムよく言った彼は、わたしの身体を起こして隣にきちっと座らせた。
「式もなの?♡」
「うん♡♡ きみが嫌じゃなければ、俺は挙げたいと思ってるんだけど♡」
「……あんまり派手なのじゃなかったらいいよ♡ でも、どうしてそんなに拘るの?」
「ウェディングドレス姿のきみが見たいから♡♡ ……と、ウェディングドレスを着て最高に綺麗なきみをみんなに自慢したいから♡♡」
お母さんの話を聞いて、晴れ姿を見て――――。彼はそのときに抱いた憧れを強く持ち続けているんだろう。
「じ……自慢できるような奥さん目指して、がんばるね……!」
彼の容姿から逆算したお母さんが絶世の美女だということは疑う余地もないし、それ以前に生活能力が決定的に不足している。
(…………とは言ったけど、結婚までに間に合うのかなぁ…………)
足りないところだらけのわたしにとって、花嫁修業はなかなか険しい道のりになりそうだ。
「いまのままでも自慢の彼女だよ?♡♡ でも、これからきみは、もっともっと素敵な女の人になるんだろうね♡♡ それをずっと隣で見ていられるなんて、幸せだなぁ……♡」
顔を背けて覗き込んでくる視線から逃げてしまったのは、生理直前で浮腫んでいたことを思い出したから。
「……ってことは、そういう意味でも毎日きみの記録は残しておかないとってことになるね♡♡ 理論上は昨日より今日、今日より明日のほうが綺麗なんだろうけど、俺には絶対比較できないな。どんなきみだって最高にかわいいはずだから♡」
あれよあれよという間に撮影に移行させられたけれど――――。
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