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彼と彼女の放課後
彼と彼女の放課後<XVII>
しおりを挟む「これのこと♡ 女の子が妊娠しないために着けるやつ♡♡ あとは性病の予防もか。たぶん卒業までのあいだだけじゃなくて、この先まだまだ何年もお世話になるでしょ?♡ ……まあ、きみが『結婚したらすぐに子どもが欲しい』って言うなら……♡ その限りでもないかもだけどね?♡♡」
「……!」
――――引き出しから避妊具の箱を取り出し、わたしに持たせてきた。ビニールさえ剥がされていないそれは、正真正銘、新品だった。
「べ、別にそんなすぐじゃなくていいよ……♡ もっと先で…………!」
どうすればいいかわからなくて、押し返すように箱を返却してしまうと、彼はそれを持ったまま、わたしをベッドに座らせた。
「そっか♡ じゃあ、安心だ♡ 俺も男だからさ、きみのこと…………いや、こんなこと話したら怖がらせちゃうね。当分は赤ちゃん作らなくていいなら、きみをかわいがることだけに集中できるね♡♡」
それからすぐ隣に腰掛けたかと思うと、伸びてきた腕が近頃肉付きのよくなってきた腰を抱いた。
「ちゃんと考えてくれてたんだね。なのに、わたし……。ごめんなさい……」
「気になる?♡♡」
戻したばかりの箱――主に中身――が気になって、つるつるの表面を撫でていると、横から声が掛かった。
「まぁ……」
「これはまだ使ったことないやつ?」
わたしが処女でないことを知る彼が尋ねてきた。
「…………その質問は、あんまり好きじゃないタイプの意地悪……。でも、君とはまだだから、はじめてってことにしておいて?♡」
「答えてくれてありがとう。きみの元カレたちの好感度がいま以上に下がらなくてほっとしてるよ。まぁ、元々あってないようなものだけど」
冷たい声を聞いて気付いたけれど、彼はわたしの身体が心配で訊いてきたのだろう。
「よかった。……特にいい思い出のない人たちだから、みんなが君に嫌われるのは別にいいけど、大好きな君を犯罪者にはしたくないし」
未遂とはいえ、ひとりだけナマで挿れようとした人がいたというのは、黙っておいたほうがよさそうだ。いずれ話すことになるとしても、そのときはいまではない。
「……そういえば、ちょうど友達が悩んでたんだけど……。あ、窓華ちゃんじゃなくて別の子なんだけどね? えっちのときにこれ着けるとそんなに痛いの? 窮屈?」
「あ~……。なんかやたらゴム嫌ってるオトコっているよね。アレルギーの人は仕方ないけど、そうじゃなくて、あの手この手で着けないでしようとするクズな感じの。……どうかな。サイズ合ってたら全然問題ないと思うし、俺は気になったことないけど」
「そっかあ……」
本当は『ナマでシたことがあるか』訊きたかったけれど、それを訊く勇気もまだ出なかった。
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