16 / 187
彼と彼女の放課後
彼と彼女の放課後<XIII>
しおりを挟む「向かい合うのもいいけど、最初から隣同士にしてればよかったね?♡ そしたら、食べさせてあげるのも簡単だし、こっちのが近くにいられるもんね♡♡」
「そうだね」
隣からの視線があまりにも刺さるので、斜めに掛け直した。彼もちょうど腰を下ろしたところだった。
「そのうえでもう一回訊くけど、どうかな?♡ してみたくない?♡ いままでとはちょっと違う、俺たちらしいバレンタイン♡♡」
彼もまた斜めに掛けているので膝と膝が触れ合ってしまったけれど、彼もわたしも向きを直しはしなかった。
「めちゃくちゃいいと思う……!! 絶対楽しいに決まってる! 確かにそういうのも贅沢だぁ…………」
頭を数年先の未来から来年のバレンタインに切り替える。
ちょうどいちばん大切で大変な時期と重なっている気がするけれど、すべて片付いたあとにふたりだけのお疲れ様会のような形での開催を計画しているのだろう。
「でしょ?♡ 予想はしてたけど、きみの考える贅沢ってほんとかわいいね♡♡ あ、別に馬鹿にしてるわけじゃないよ?」
「ちゃんとわかってるから平気。いちばん甘いチョコより君のほうが私に甘々なんじゃないかなぁってびっくりしちゃったけど……♡」
「俺はきみには甘すぎる?♡♡」
「ううん♡ わたしにはちょうどいい甘さ♡ ……全力で甘えても怒らないひとがいるなんて、思ってなかったなぁ……。ずっとわたしに甘い君でいてくれる?♡」
いつのまにか移動させてくれていたカップを取って、とっておきの隠し味が入ったミルクティーを口に含んだ。
「俺と結婚したら叶えてあげる♡ お口のなかも心のなかもずーっと甘々な夫婦生活♡♡ 最高じゃない?♡♡」
もったいなくてちびちびとしか飲めないせいで、喉を通過した甘い飲み物よりも、片肘をついて頭を撫でてくれている手のほうがずっとあたたかい。
「うん、そうだね♡♡ …………いつまでも『新婚さんみたいだね』って、一緒にからかわれてくれる?」
「当たり前じゃん♡♡ そういうの理想♡♡ 一緒にいる時間が増えると、合わないとこもたくさん出てくると思うけどさ。……それでもきっと、そんなのどうでもよくなっちゃうくらい、きみと一緒にいられる時間って俺には大切で、欠かせないもので…………」
言葉と同時に手の動きが止まった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる