我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

片喰一歌

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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CDXXII>

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「大丈夫♡♡ たぶんきみが思ってるよりずっと上手に伝えてきてくれてるし、俺もきみの気持ちを読むことに関しては天才だから、不安になることないって♡♡ きみの愛は俺と同じくらい、重くて深くて……♡♡ 俺以外の男には受け止めきれないようなものだって、ちゃんと伝わってるから♡」

　頬を上気させた彼は、キスのあいだずっと、受け身に徹してくれていた。

「昨日からずっとコトバでもカラダでも好き好きってしてくれてるし、そろそろ俺のほうがお返ししないと、もらってばっかりになっちゃうなって思ってたくらいだよ♡♡」　
　
「……だから、してほしいことなんて訊いてきたの？♡♡ 全然そんなことないのに♡」

　果てしなくお人好しな彼にそう尋ねれば、照れくさそうにはにかんで――――。

「でも、俺があげたがりだってことは誰よりもご・存・知・じ・ゃ・な・い・で・す・か・？♡ 欲しがりなお姫様♡♡ しかも、あげたがりと欲しがりで完全に釣り合ってると思うんで・す・け・ど・ね？♡♡」

　耳慣れない敬語で質問を返してきた。

「知ってるけど、敬語やだ……♡ いつもみたいに普通に話してほしいな？♡」

　彼に悪気などなく、いつもの『ごっこ遊び』の延長だと見当はついても、心の距離が一気に開いてしまったようで、声には隠しきれない寂しさが混じった。

「敬語っていっても相当砕けた部類に入るし、お・姫・様・相・手・だ・か・ら・、少しは敬う姿勢でも見せておかないと……と思ったんだけど、ダメだった？♡」

　首を傾ける角度ひとつとっても、自分の容姿を最大限に魅せる方法を熟知している。

「だめ♡♡ だって、あ・な・た・と・わ・た・し・は・対・等・なはずでしょ？♡♡」

　けれど、ここは譲るわけにはいかない。

　かといって、否定したくもなくて……迷った挙句、触り心地のいい頬を包んだ。

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