我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

片喰 一歌

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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CDXIX>

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「了解♡♡ じゃあさ、こういうのはどう?♡ 『お正月はきみに俺のわがままをたくさん聞いてに全部付き合ってもらうから、残りの時間は俺がきみのわがままを聞いてあげる』……っていうのは♡♡」

 対する彼の双眸には、満遍なく星が散りばめられたなかに、オーロラがごとき色欲の幕が出現していた。

 わたしを組み敷く常夜の化身は、何時間も交わって、汗と体液に塗れているというのに、嫉妬してしまいそうなほどに美しい。

 痛いほどにきゅんと鳴った胸に続いて、全身で最も速くわたしの思考を反映する器官がうねった。

「……それじゃ、普段とそんなに変わらないよ?♡」

 これから始まる行為に対する期待を隠せずにいるくせに、ご奉仕してあげることをまだ諦められずに、中途半端な疑問を投げかけた。

「でも、お返ししてもらう予定があるんだよ?♡♡ そう考えたら、いままでとは全然違うんじゃない?♡ しかも、『きみのしてほしいことをするの』だって『』なんだけどなぁ……♡♡ きみは叶えてくれないの?♡」
 
 けれど、わたしは屁理屈ひとつとっても、彼には敵わないらしい。

「それがあなたの本当にしたいことだったら……♡♡」 

 了承の意味も込めて、頬に口付けた。

「ありがとう♡♡ やっぱり、俺……優しいきみのことがだーいすき……♡♡」 

 快楽にすこぶる弱い女をお得意の論法で容易く言いくるめた男に、長い舌で、深いキスで、酸素と思考能力を取り上げられる。

「~~~っ♡♡ っは、ぁ……っ♡♡ わたしもすき♡ あなたがだいすき♡♡ いままでも、これからも……♡ あなたのことだけ、あいしてるの……♡♡」

 縺れそうな舌を必死に動かして、彼への想いを声に託した。

「…………さぁ、教えてよ♡♡ きみが俺とふたりでしたいこと♡♡ 、とことん付き合ってあげる♡♡」

「『』?♡♡」

 妄想とも換言できそうな想像を搔き立てられてしまったわたしが復唱すると、彼の吐息が頬を掠めた。
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