我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

片喰 一歌

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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CDVIII>

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「すぐそういうこと言う……♡♡」
 
 諦め半分愛しさ半分で再び脚を絡めれば、彼はふと笑顔を消して。
 
「…………きみのナカに出した精液は、どこに行くと思う?」

 真剣な表情に見惚れていたら、珍しく照れてしまったのか、膣内を掻き混ぜられた。

「ん……っっ♡♡」 

 その際に出たはしたない水音と彼の問いかけに身を震わせる。
 
 行為中はさまざまな音が興奮を搔き立てるけれど、交わっている証そのものとも換言できそうなこの音が、わたしはとても好きだった。

 いちばん好きなのはもちろん、他ならぬ彼の声だけれど。
 
「あ、真面目な話ね。別にエッチなこと言わせようとか考えてないから♡♡ そういうことしか思いつかないんだったら、それでもいいけど♡♡」 

 真意を測りかねて正解がわからなくて難しい顔をしていたせいか、彼は言葉を重ねてきた。

「どこって? わたしのいちばん奥じゃないの……? だって、あなたはそこまで届くようにしてくれて……♡♡」

「エロい話じゃないって言ってるのに♡♡ 思い出しちゃった?♡ ひくひくしてるよ……♡♡」 

「…………あ。でも、最終的には外に出てきちゃうよね……」

 羞恥を掻き立てる台詞はあえて無視したけれど、それをずっと体内にとどめておくことはできないことを思うと、込み上げる切なさは涙となり、視界を歪めて。

「またそんな悲しそうな顔をして…………。いくらでもあげるとは言ってるけど、さすがにインターバルは欲しいかな?♡ じゃないと、俺、ほんとにミイラになっちゃうよ?♡♡ きみだってさすがに嫌でしょ?♡ いくらでも、ミイラに抱かれるのは♡♡」

「わかってる。…………ごめんね」

 冗談まで交えて笑わせようとしてくれているのに、応えられない自分が情けなくて、力なく目を閉じた。
 
「…………まぁ、とりあえず続きを聞いてよ」

「うん……」

「大半はそうだろうね。いらないものとして、排出される。精液なんて、精子を無事に送り届けるためのものなんだから当然だよ」

「そう考えると…………やっぱり……」
 
「でも、そこで…………」

 彼は震える背中をさすりながら、歌うように呟いた。
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