我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCCXXIV>

「…………綺麗なのは俺なんかじゃなくて、きみのほうだと思うけど……♡♡ 訊いていい？♡ そのきらきら、ど・っ・ち・なのかな？♡」
　
　時を忘れたように固まっていた彼が、思い出したように口を開いた。
　
「……どっちって、どういうこと？♡♡」

　涙の上に疑問符を浮かべて尋ねると、彼は切なそうにため息をつく。

　それが決して寂しさから出たものではなく、呆れられてしまったわけでもなく、募りに募った恋情のあらわれなのだと思い知らされるのが、すぐあとのことだなんて。
　 
「おめめがきらきらする理由って、いろいろあるでしょ？♡♡ 好きなものを見ると瞳孔が……っていうのは有名な話だし」
　
　わざと回り道をする癖も、いまは時間稼ぎのように思えて、じれったい。
　
「いつもみたいに、はっきり言ってくれていいよ？♡」

　考えても答えには辿り着けそうもなくて、目と口で訴えかければ。
　
「じゃあ、お言葉に甘えて単刀直入に訊こうか♡♡ きみのそれは泣いてるだけなの？♡ 期待してるようにも見えるから、どっちかなって考えてたんだけど……。直接訊かないと本当のことはわからないでしょ？♡ 俺、きみにそういうお顔向けられると、誘われてるとか煽られてるとか勘違いしそうになるから、止・ま・れ・る・う・ち・に・教えてほしいなぁと思って♡♡」

　彼の熱い息が頬に残った水を散らしていく。
　
　止まれても、止まる気はさらさらなさそうだ。
　
「勘違いじゃないよ？♡♡ あなたに興奮してほしいから、泣いてる顔も隠してないの……♡ もっとよく見て、わたしのこと……♡♡」

　雰囲気に酔わされるがままに、腰元をつーっとなぞり、誘惑を重ねた。

　わたしだって、止まってほしいなんて望みは持っていない。

「まったく……♡ そうやって煽るせいで散々喘がされてきただろうに、本当に懲りないね♡♡ まぁお・め・め・き・ら・き・ら・さ・せ・て・た・だ・け・じ・ゃ・な・か・っ・た・から、わかってたといえばそうなんだけど♡」

　彼は誘惑に応じ、ぐるっと腰を回した。