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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<CCXCVI>
しおりを挟むあのときのわたしは少しも疑わずにすとんと納得してしまったけれど、いまならわかる。
猫だって、別にかわいいだけの愛玩動物ではないのだと。
「…………っ♡」
教わったばかりのうさぎとの共通点に鑑みればお世辞にも強い動物とは言えないにせよ、彼らの爪も牙も鋭く、文字通り武器としての機能を十二分に備えている。
「ねぇ、お返事聞かせてくれないの?♡♡ 子猫ちゃん?♡」
自己申告に違わず、せっかちな彼がそう言ってせかすから。
動くのに合わせて少しぶれる、幾度粗探しを試みても非の打ち所がないかんばせを見つめて。
続いて、お尻の穴を締めるイメージでお腹に力を込めると、近頃夜泣きの絶えなかった空洞を埋める男性器の質量が際立った。
そのふたつが列挙するにふさわしい対比かどうかについては、いまいち自信が持てないけれど。
「…………ほんとうに、それだけ?♡」
返答に窮しているあいだにも、新たな疑問が湧いてきてしまった。
人間ならではの体位ではなく、獣たちに倣った体位で女の側からそんなことをするなんて、直接的な台詞でねだるよりも数段あからさまだ。
「どういうことかな?♡♡」
それでも、わたしの恥じらう姿を見たがる意地悪な彼の要求にしては生ぬるすぎる。
「あなたがわたしにしてほしいことって、んっ♡ 本当にそれだけ、なのかなぁって思ったんだけ、ど……♡♡ ああっ♡ ないならないでいいのっっ♡♡ その場合は……いま言ったことは……ぁあっ♡ 忘れて、ねっ?♡」
先ほどのヒントを参考に、腰をくねらせるダンス然とした動きで予防線を張りつつ、何人たりとも立ち入らせない深層へと果敢にも分け入っていく。
「…………あはははっ♡♡ そっかぁ……♡ そうくるんだねぇ♡♡」
彼がのけぞって笑うと、喉元の林檎に釘付けになってしまう。
「わたし、なにか変だった……かな……?」
本物の林檎とは違い、収穫厳禁のくせして常に旬の季節にあるその果実に触れて、おずおずと尋ねた。
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