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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<CCLXXXIII>
しおりを挟む「ダメってはっきり言いたくなかったんだ。ごめんね……」
ふわっと抱き留められ、大きな翼の中で庇護されているような安らぎを得る。
「ううん。喜んだらいけないのかもしれないけど、あなたもおんなじ気持ちでいてくれたこと、嬉しくて忘れられないと思う……♡♡」
しかし、魔物の呻きが聞こえなくなったかといえば、そうではなかった。
「そっか♡」
首輪をつけて完璧に飼い慣らしている獣欲を解放した彼にもう一度会いたくて、首筋に舌を這わせる。
「あとね、ひとつ付け加えておくけど。ダメって言ってるのは明日以降のことで、今日のあいだはなんでもワガママ聞けるよ?♡♡」
ほのかな塩味を感じる肌にスタンプを押すように口付けていると、頭部にキスが落とされた。
「…………なんでも?♡ じゃあ、さっきのお願いも?♡♡」
桃色に霞んでいく視界の中、仰ぎ見たそのひとは、一段と美しくて。
「そう♡♡ だから、きみは約束を延長しようとするより先に、今日、ちゃんと逃げ切れるかどうかを考えたほうがいいと思うなぁ♡♡」
ちょうどいい場所にあった肩に凭れ、傾いた頭で偏った思考を働かせる。
「え……っ?♡♡」
「だって、そうじゃないの?♡ きみが頑張って捻り出した言い訳も、俺たちが話し合って決めた約束も♡♡ ぜーんぶ無駄になっちゃうかもしれないんだからさ♡♡ 貴重な時間使ってそういう話をしてたつもりだったんだけど、俺に見惚れて話の内容入ってこなかった?♡」
彼は、うっすら透けてきた怒りを隠すように、楽しそうな声色を作った。
「……見惚れてたけど、ちゃんと聞いてたよ♡」
昨日の結論を急拵えの言い訳だと見抜かれていた動揺を飲み込んだら、ぴりっとした刺激が駆け抜けていった。
「ほんとに?♡」
「ほんとだよ♡ たぶん、あなたはわたしが先のことばっかり考えて、いまを大切にしてないことに怒ってるんだよね。ごめんなさい。ちゃんと残りの時間、大切にするから……お願い、いっぱい愛して……?♡♡」
所有印を起点に、首を伝い、唇を唇へ近付ける。
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