我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCXXII>

「……っふ♡♡ ぁぁ……っ♡」
　
「そんなはずないのに♡♡ もうあんまり使われてない言葉かもしれないけど、知ってのとおり、俺はきみに首ったけだ……」

　息を吸う音が大きく聞こえる。どうやら髪の香りを嗅がれているようだった。

「ふふ♡♡ 知ってる♡♡」

「それはなにより♡ まぁとにかく、俺もきみには弱いんだよってことが言いたくて♡♡ 力の差なんて簡単にひっくり返せちゃうくらいにね……♡」

　彼はふいに髪を掻き分け、そこに口付けてきた。
　
「あ……♡♡」　
　
「さっきみたいに積極的に動いて気持ち良くしてくれようとしてるとこ見せられたり、甘々な声でおねだりされたりしちゃったら……き・み・と・一・緒・に・気・持・ち・良・く・な・る・ことしか考えられなくなっちゃうんだよ……♡♡ 単純でしょ？♡ だから、余裕で勝てるって♡」
　
「やっぱり全然簡単じゃなさそうだけど、絶対無理ってわけでもない……のかも？」　

　彼に勝つ作戦を練ろうとして真っ先に浮かんだのは、またしてもわたしが彼の思うがままにされているシーンで。

「でも……♡♡ ふふふっ♡」
　
「どうしたの？♡ なにか面白いこと？♡♡」

　彼は笑い出したわたしにひとつ、またひとつとキスを落としていく。

「えっとね、それでもわたしはあなたに勝てないだろうなぁと思って……♡」
　　
「負けず嫌いなきみらしくないね？♡♡」

「負けっぱなしは悔しいけど、わたし、あなたにだけは負けていいよ？♡ ……ううん、負けたいな♡♡ 負かしてほしいの♡♡ あなたにはわたしより上のつよい立場でいてほしいし、あなたのほうがわたしより強いんだって思い知らされる瞬間が好きだから……♡♡」

　と勝てない理由を正直に伝えれば、乳房全体をゆるゆる触っていた手がぴたりと止まって。

「それは…………普段の生活で、かな。それとも、ベッドの上限定？♡♡」

　敗北宣言を受けた彼は、さらにわたしを辱めようとしてくる。