我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCXIX>

「…………お返し？♡」
　
　ぬるぬる滑る硬いモノに外性器を広範に刺激され、期待が高まっていく。
　
　お返しだというのなら早く挿入れてくれればいいのにと思う一方で、後ろの穴に擦れるのもなかなか悪くない感覚で。

「うん♡ でもね、どっちみちもう一回したいなぁと思ってたんだよ♡♡ 俺もそうだし、きみも外の寒さなんて忘れて暑くなっちゃうくらい、ぎゅうぎゅうってくっつきながらするほうが幸せになれるみたいだから♡」

　彼はじらすのをやめ、前の穴にソレをあてがった。

「ぁあっ♡♡」

　めり込んできた先端を奥まで誘い入れるように襞が吸い付いているのがわかる。
　
「甘い声出しちゃって♡♡ そんなに嬉しい？♡」

　けれど、彼は中途半端に挿し込んだモノをそこから先へ進ませようとはしない。

「うん♡♡ でも、奥まできてくれたら……もっと嬉しいな？♡」

　とっておきの媚びた声で乞うと、悩ましげなため息が聞こえた。

「…………本っ当に小悪魔だなぁ♡♡ 限界までじらして、べそかいたきみにおねだりしてもらうのもいいなぁなんて思ってたのに……そんなに欲しがられたら、すぐあげるしかないって♡」　
　
　マットレスが大きく揺れたすぐあとに彼が覆い被さってきた。再び重なった体温にときめく暇もなく、押し入ってきた質量に息を止めそうになる。

「あぁ……っ♡」

　それでも、背中に密着する逞しい胸に合わせて呼吸を繋いでいるあいだに挿入は完了して。　
　
「覚えてるかな？♡ この体位寝バックのこと『うさぎの交尾みたい』って言った途端にナカ狭くしちゃったの♡♡」 

　という言葉をきっかけに、彼とわたしの境界が急速にぼやけていく。
　
「……覚えてる♡ んぁっ♡♡ でも、わたしたち……うさぎじゃないもんっっ♡♡」

「そういえば、うさぎは一回の交尾にかける時間が三十秒かそこらだもんね♡♡」

　照れて飛ばした的外れな否定も、彼は柔らかく受け止めて。

「三十秒……だ・け・？」
　
「そう♡ たぶんそのくらいだったと思うけど……やっぱりきみも『短い』と思ったみたいだね♡♡ 俺もどこかで知って、そんな短時間で済んじゃうずいぶんみじかいんだなってびっくりしたのが記憶に残っててさ」

　たった数文字の疑問に映し出された本音を注意深い彼が聞き逃すことはなかった。