我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

片喰 一歌

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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCIII>

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 原作は悲恋だけれど、とか。真の悪役が王子であるかのような言いぐさはどうなのか、とか。言いたいことは山ほどあったけれど、そんなものはいつもどおり喋れていたとしても別段言う必要のないことで。

 天鵞絨がごとき質感の独占欲を突き付けられれば、たちまち多幸感と愛欲に溺れてしまいそうになる。

「く……っ♡」
 
 強張っていた全身の力が抜けていく途中で、彼が息と声の狭間のような音を漏らした。

「ゃ゛……っ♡♡ んぁぁあっ♡♡」

 歯を食いしばる彼の浮き出た首筋に目を奪われた直後、ぴったり嵌まった大きくモノが脈打って、連動するように腰をくねらせてしまう。

「…………っ、あぁもう♡ かっこつかないなぁ……♡♡ のに、我慢できなかったよ♡♡」

 掠れた声での呟きにも痛いくらいにペニスを奥に押し付ける動きにも雄の本能を感じ取ってしまうのに、当の本人はかわいい顔ではにかんでいる。

「ごめんなさい……♡ でも、欲しくって……♡ わたしも我慢できなかったの♡♡」

 ようやく話せるようになった嬉しさからか、素直な気持ちがするする滑り出てきた。
 
「よかった♡ 普通に喋れてるね♡♡」

「うん、気にしてくれてありがと♡ ……あ♡♡ まだどくどくしてる♡」
 
「そりゃ、『我慢できなかった』なんて言われたらね♡♡」

 彼は精子を満遍なく塗り込むように膣内を搔き混ぜる。
 
「あなたはなにを選ばせてくれようとしてたの?♡」  

「ああ、それは……♡ いままででいちばん奥に出されてみたいか、それともいつもみたいに全身でぎゅーって抱き合ってイくほうがいいか、ってことだったんだけど♡♡ 訊く前に、いちばん奥で出ちゃったね♡♡ きみの選びたいほうだったかはわからないけど、を考えたら……こっちでよかったのかな♡♡」

 彼の精を無我夢中で求めてしまった事実に赤面したけれど、弁解するよりも先にお腹の奥がきゅんと疼いた。
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