我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CLXXXVIII>

「うん♡ あのね、あなたの気持ちはすごく嬉しいの♡ 気遣ってくれてありがとう♡♡ でもね？♡ これまでより深く繋がれる方法、せっかく考えてくれたから……♡ わたしももっと奥のところで気持ちよくなりたいなぁって思って♡♡ 面倒かもしれないけど、手伝ってもらってもいい……？♡」

　乾いてきた唇に注がれる視線に怯みつつ、なんとか願いを伝え切れば。

「そんなにびくびくしながら頼まなくてもいいんだよ？♡ 断るわけないんだから♡♡ そういうのってしようと思えば自分でもできなくはないのに、任せてもらえるなんて嬉しいな♡」

　わたしを見下ろす表情が喜悦に彩られていった。

「ありがとう♡♡ お願いね♡」　
　
「うん、俺・の・カ・ラ・ダ・の・一・部・し・か・受・け・付・け・な・い・困・っ・た・さ・ん・のために張り切って務めさせてもらうよ♡♡ 俺としては、きみがその華奢な指で必死に気持ち良くなろうとしてるところも見てみたい気がするけどね♡」

　片目を瞑った彼は、わたしのわがままな部分を茶化してみせる。

「その場合、太さじゃなくて長さが足りないんじゃないかと思うけど……」
　
「だから見てみたいんだよ？♡ イけそうでイけなくて悔しそうに涙浮かべてるところなんて、想像しただけでかわいいし♡♡」

　さわやかな笑顔にそぐわない発言にもすっかり慣れたけれど。

「…………っ、悪趣味♡ 意地悪……♡ ドS……♡ かわいい顔した悪魔…………♡♡」

　口をへの字に曲げて、思いつくだけの悪口を羅列しても、馬耳東風どころか、微笑ましい光景でも見ているかのようにますます目を細める始末で。
　 
「その程度でディスってるつもり？♡ 褒めるのは得意なのに、悪口のボキャブラリーなさすぎ♡♡ ……でも、ある日を境に、きみが流暢に罵倒してくるようになっても悲しいし。いつまでも天使みたいにかわいくて優しいきみでいてね……♡」
　
　脚を食まれ、次に唇を重ねるときを待ち遠しく思いながらも、疼き出したのは彼が刺激を送っているよりも先の部分だった。