我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

片喰 一歌

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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CLXXXVI>

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「そうだなぁ。俺が知ってる中では、他の追随を許さない稀代の寂しがり屋さんってとこ?♡♡ あぁ、怒らないで?♡ 一緒にいるときはなるべくくっついてないと気が済まないところも、イチャイチャしてるとすぐスイッチが入っちゃうところも大好きなんだから……♡♡」

「あなたのこと好きすぎて、一緒にいるとき冷静でいられないおかしくなっちゃうのは自分でもわかってるから、別に怒ったりしないよ?♡」
 
「それはよかった♡ 何度でも言うけど、きつくなったらすぐやめるから、ちゃんと教えてね?」

 彼はびしっと決めたつもりかもしれないけれど、にやけた口元にも柔らかく通り抜ける声にも喜びが滲み出していた。

「さっきはやめてくれなかったくせに……?♡」

「きみは『だめ』、『苦しい』とは言ってたけど、『やめて』とは言ってなかったからね♡♡」

 得意げに言い放つ姿がおかしくて、知らず知らず強張っていた全身の力が緩んでいくのを感じる。
 
「屁理屈♡」

「返す言葉もないけど♡ …………本当に続けていいんだね?」

 彼は真剣なトーンで再度確認を取ってきた。

 数秒前まで屁理屈を捏ねていたとは思えない変わり身の早さだけれど、わたしはこのひとのこういうところも好きなのだ。多少の意地悪は大目に見ようと思ってしまうほどに。
 
「大丈夫って言ってるのに♡♡ あなたって心配性だよね。っていうか、ちょっとだけ過保護……?♡」

 感じたままを言葉にすれば、彼はからからと笑う。

「『ちょっとだけ過保護』ってなにさ♡ なんか矛盾してる気がするけど、かわいいからなんでもいいか♡♡」
 
 揚げ足を取ったり、時には重箱の隅をつついているように感じられたりする発言でも嫌味がないと思えるのは、偏に彼の人徳や人柄といったものの為せる業だろうか。

「俺はこれからは……いや、これから、か。『ちょっとだけ過保護』な旦那として生きていくことにするよ♡ 鬱陶しいときもあるかもしれないけど、それだけ大事に想ってるってことにしておいて?♡♡ 散々じらしたりいじめたりもしてるから、説得力ゼロかもしれないけどね♡」

「……ううん、いいの♡ 想ってるだけじゃなくて、いつも本当に大切にしてもらってるから、いまはいっぱいいじめて?♡♡」
 
 指を伸ばし、手の甲をそろりと撫でて、ちょっとした誘惑を仕掛ける。
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