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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<CLXXXI>
しおりを挟む「…………っ♡」
彼はほとんどまばたきもせず、わたしの表情の推移を注意深く見守っている。
最深部に到達したと思っても、そこで止まることはなく突き進むソレに、『伸縮自在な部分とはいえ限度があることを忘れていやしないか』などという不安に胸をざわめかせてしまう。
そのあいだにも、彼自身は着実にわたしの空洞を埋めていった。
最後の砦。人体の不完全性を、一人の人間の未完結性を表すその欠落を塞がれる。幾度となく体験してきたことだけれど、此度のそれは歓喜のみでは語れそうにない。
「ぁ……ああっ♡ ねぇっ♡ あなた、自分の長さ……ほんとにわかってる?♡ あ……♡ だめ、だめぇ……♡ 押し上げようとしないで♡ もうそこ行き止まりだから、それ以上入ってきちゃだめなのっっ♡♡」
壊してほしいとすら思っていたはずが、危険を感じて怖気づいてしまう。
「えぇ?♡ もう降参しちゃうの?♡♡ あんなに『もっと奥きて♡♡』って言ってくれてたのに♡ はぁ……っ♡ いちばん奥だと思ってたところよりももっと深いところで繋がれて、俺はすごく幸せなんだけど、きみは嬉しくないのかな……?」
彼はしょんぼりと眉と口角を下げ、雨に濡れた子猫のようにかわいらしく尋ねてきた。
「嬉しい……♡ けど、ちょっと……苦しく、て…………っ♡」
「まぁ、こうなるだろうなとは予想してたけど♡」
ふたつの眉はまだ下がったままだったけれど、口角は完全に上がっていて、悪役そのものとしか形容できない笑みが闇に広がった。
「……苦しいって言ってるのに、あなたはやめてくれないの?♡」
「きみの場合、本当に無理そうなら『やめて』ってちゃんと言ってくれると思うし、そんなに甘い声出せないはずだからね♡ 俺のサイズについては……そうだね。自分の身体の一部だから、一般的にはどのくらいなのかもわかってるつもりだけど」
「だったら、いつもよりおっきくなってるのだってわかるはずでしょ……?♡」
「……確かに、ちょっと痛いくらいぱんぱんだけど。それはどっちかっていうと、こっちのことだしね♡」
彼はそう言って、わたしの手を大きな陰嚢に導いた。
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