我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CLXII>

「いますごいびくびくってしたね♡♡ イっちゃったのかな♡ 言葉だけでも気持ち良くなれるなんて、きみは本当に感じやすいね♡♡」

　震えるわたしを満足そうに見下ろす彼は男の人の顔をしていて、いつまでもお腹の底の疼きが収まらない。

「言葉だけじゃなくて、奥とんとんってしてたくせに……♡」

「動かないほうがよかった？♡♡」
　
「そういうことじゃないよ♡ 誤魔化さないで？♡♡ わたしにはそこがどうなってるかわからないけど、昨日より開いてないんだったら、絶対あなたのせいなんだから……♡」

　ちかちかと視界に舞い散る星が鬱陶しい。

「俺のせい？♡ どうして？♡ 俺は昨日も今日もおんなじようにきみのこと愛してる抱いてるはずだけど……♡♡ なにが足・り・な・い・っていうのかな、わがままなお姫様？♡」

　けれど、その向こうにいる彼はキラキラのエフェクトがかかっているみたいで、王子様然とした顔立ちがよりいっそう煌びやかで優しげに見える。

　『なにが違うのか』ではなく『なにが足りないか』尋ねてきている時点で、彼がわたしの欲しているものがなにかを把握しているのは明白なのに。
　　
「きす……♡ あなたがきすしてくれたら、きっと昨日みたいになるよ？♡」

　すっかり毒気を抜かれ、舌足らずにキスを催促したけれど。

「キスはもうしてるでしょ♡♡ どこよりも深い場所でさ……♡」　

　彼はなおもセックスをキスだと言い張って。
　
「ぁ……っ♡ それもキスだけど、そうじゃなくて……。ねぇ、ほんとはわたしの言いたいこと……とっくにわかってるんでしょ？♡♡ いつになったら、ここにキスしながらしてくれるの？♡♡」
　
「ん？　……ああ、そうだったそうだった♡♡ いっぱい喋らせちゃってごめんね♡ きみの声聞いてたくて、色々突っ込んで訊いちゃった♡♡ あ、別にいまのはエロい意味じゃないよ？♡」

　わたしが自分の唇を指しても、彼はその横にキスを落として喋り続ける。