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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<CVII>
しおりを挟む「ああ♡ 紛らわしい言い方になっちゃってたかな♡♡ 大丈夫、いまはそっちを揉むつもりはないから♡♡」
彼は笑いを噛み殺しつつ、わたしの肩をさすり始めた。
「もう♡ なに言い出すのかなってびっくりしちゃった♡♡」
頬を膨らませて横から睨もうとしたけれど、首が痛くて彼の表情を確認するには至らなかった。自覚していた以上に凝りがひどいのかもしれない。
おとなしく前へ向き直れば、後ろからからかうような声が追いかけてきた。
「もしかして揉んでほしかった?♡♡ 期待させちゃってごめんね♡ あとでもっとおっきくなっちゃうんじゃないかってくらい沢山触ってあげるから、いまは肩で我慢して♡」
けれど、表情が見えなくても問題はない。そう思うほどに、声と息遣いは彼の機嫌を如実に示すバロメーターだ。
台詞自体は余裕ぶったものだった。しかし、耳の端を掠めていったのは、まるで自分自身に言い聞かせるような浅い呼吸だった。『我慢して』と言われたのはわたしのはずなのに、早く本題に入るのが待ちきれないのはお互い様のようだ。
「んー……。いいよ、我慢する♡」
「ありがと♡」
だが、先のことに気を取られ、目の前のことを疎かにする彼ではない。
沈み込む指が深層まで届き、強張っていた筋肉をほぐしていく。
その腕前は、わたしとは比べ物にならないのではないかと思うほど素晴らしいもので、彼がマッサージ師ではないことに深く安堵した。
「……でも、もしそれでほんとにわたしの胸がおっきくなったら、どうするつもりなの?♡」
狭量なところを悟られたくなくて、恋人同士の延長線のような問いかけを捻り出す。
「そうだねぇ……。その分、肩凝りもひどくなっちゃうだろうから肩も揉むし、おっぱいだって揉むよ?♡」
「責任取ってくれるんだね♡♡」
と答えたときの手つきは、少しねっとりしたもので。
「喜んで取らせてもらうよ♡」
とんだマッチポンプだと思いながら、目を閉じて、癒しのひとときを満喫することにした。結局はわたしも彼に触れられることが好きでたまらないから。
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