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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<XCIX>
しおりを挟む「ううん、いいの。ちゃんとおはようのキスさせてくれたから、もう怒ってないよ♡♡」
「許してくれてありがと♡」
彼は握った手をそっとわたしの膝に返し、立ち上がった。
「……それじゃ、はいこれ。昨日言ってたミルクティー♡ 冷める前に起きてくれてよかったよ♡♡」
渡されたティーカップは、まだほのかに湯気を立てている。
「淹れてきてくれたの?」
「起きたら急にコーヒーが飲みたくなってね、そのついでに。あ、御機嫌取りとかじゃないよ?」
言われてみれば、あたりに広がったミルクティーの甘い香りには、コーヒー豆の香ばしい香りが見事に溶け込んでいた。
「わかってるよ。ありがとう♡♡」
香りを楽しんでいるうちに、カップを持つ両手から全身にぬくもりが伝わっていく。
「……まだいらない? やっぱり、目覚めの一杯には他の飲み物のほうがよかったかな。言ってくれれば持ってくるけど、なにがいい?」
受け取るだけ受け取って、いつまでも飲み始める気配のないわたしを見ていた彼がそう言って立ち上がりかけたのを、袖を掴んで引き留める。
「ううん。ずっと飲みたかったし、せっかくあなたが淹れてきてくれたから、これがいい♡ いただきます♡」
カップに口をつけてすぐ、顔が綻んだ。猫舌というほどではないけれど、熱すぎるものが苦手なわたしには飲み頃の程好いあたたかさ。
「おいしいし、あったまる♡ 起きてすぐこれ飲めるの幸せ♡♡」
「そっかそっか♡♡」
彼はこくこくと喉を鳴らしてミルクティーに夢中なわたしを黙って見つめている。視線を感じて一瞥すれば、綺麗に微笑みかけられ、危うく噎せかけた。
「……ごちそうさまでした♡ また作ってね♡♡」
少しずつ味わって飲もうと思っていたはずなのに、思いの外喉が渇いていたこともあって、カップの中身はあっという間に空になってしまった。
「言ってくれれば、またいつでも♡」
飲み終わったカップはただちに回収され、サイドテーブルに戻された。
「そういえば、自分で淹れたミルクティーって飲んだことないな……」
かちゃりという音に重ねて、彼が呟く。
「ミルクティー自体、あんまり飲まないもんね?」
「そうだね。…………なんか急に気になってきちゃったなぁ♡♡」
口元に笑みを広げた彼が近付いてきたのを認識した頃には、すでに唇は奪われていた。しつこく追い回す舌は、残ったミルクティーの風味というよりは、咥内を堪能することに執心しているようだ。
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