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HUNNY BUNNY

HUNNY BUNNY<Ⅴ>

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「う、ぁ……あぁっ♡ そうかも、しれないけど……っ♡」

「気持ち良さそうだね♡♡」

 愛くるしくすぼめた口でおいしそうに乳首に吸い付く様子を見ていると、本当にそこからなにかが滲み出しているのではないかという気分になってくる。

「んっ……ぁ♡♡ 気持ちいいけど……! そんなに吸ったって味なんてしないよね……?」

「しないはずだとは思うんだけどね、きみのカラダはどこを舐めてもおいしいよ……♡」

 彼は変態じみた愛を吐露しながら、今度はデコルテをテイスティングする。

「や……っ♡」

 唇が離される直前に鈍い痛みが肌を刺した。数日経てば消えてしまう儚い所有印は不可視の刺青のように薄い皮膚の下まで刻み込まれていく。

「よし……綺麗に咲いたかな♡♡ ここならぎりぎり服で隠れると思うけど、見えちゃったらごめんね」

 と言った笑顔が眩しい。キスマークを隠す方法は何通りもあるし、そんなことで怒ったりしないのに。物足りない気持ちは、ずるい質問に変換される。

「……ひとつでいいの?」

「うーん……。ほんとは全身につけたいよ。って言ってもなぁ……。こんなの本当はただの内出血だし。…………うん、やっぱり『キスマーク』って響きがいけないな。ちょっとロマンティックすぎると思わない? そんなの付けたくもなるし付けられたくもなるに決まってるよね。困ったもんだ」

 と言った笑顔が眩しい。キスマークを隠す方法は何通りもあるし、そんなことで怒ったりしないのに。少しばかりの物足りなさは、小狡い質問に変換された。

「……ひとつでいいの?」

「うーん……。ほんとは全身につけたいよ。って言ってもなぁ……。こんなの本当はただの内出血だし。…………うん、やっぱり『キスマーク』って響きがいけないな。ちょっとロマンティックすぎると思わない? そんなの付けたくもなるし付けられたくもなるに決まってるよね。困ったもんだ」

 彼は百面相しながらぼやくけれど、その声色は柔らかい。
 
「ただの内出血……。そうだよね……。なのに、なんでこんなに特別な感じがするのかなぁ? あなたの言ったとおり、『キスマーク』ってお名前のせい?」

 疑問を口にすると、ふわっと笑みを広げた彼に抱き締められた。

「……ふふ。きみは俺の付ける『特別な痕』がいくつも欲しいのかな?」 

「うん♡ 欲張りでごめんね?」

 首を傾げて甘えた声を出す。

「ああ、欲張りなのはなにも悪いことじゃないよ♡♡ なんだって欲しがったらいい。でも、いま付けた『キスマーク』……ロマンの欠片もない言い方をすれば、『変な箇所にある人為的な痣』だろう? 見た目も痛々しくなっちゃうし、せっかくの綺麗なお肌だ。大事にしないと♡♡ ……なんてさ。ちゃっかり付けておいて言えることでもないかもしれないけどね。場所にもよるけど『ふたりだけの秘密』みたいだし、『きみと愛し合った証』だなぁって思うから、なんだかんだで俺も結構好きだよ」

 と彼は先ほど刻んだ愛の証に口付けた。
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