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薄翅蜉蝣
第七夜
しおりを挟む「うわっ」
バランスを崩し、彼女の上にどっかり腰を下ろしてしまった。
「すみません! 痛くなかったですか?」
両肩を掴んで尋ねたが、彼女の滑らかな肌は手の届かないシルクのようで、退く気なんて一瞬のうちに失せてしまった。
季節柄か、私の腿の内側に触れているのは生脚だ。
瞬きすると、瞼の裏に黒いショーツの残像がちらつく。
「平気。アタシのせいだし、謝らないで。あと、退かないで」
触れている部分からは、今にも体温調節のためではない汗が噴き出してしまいそうだったが、再び腰を浮かせる前に早口の命令が谺する。
「……やっぱり女王様ですね、紅さんは」
根負けして力を抜けば、彼女も表情を和らげた。
『いっぱい話しよ』と言っていたから、いつものお喋りの延長かと思っていたが、目線の先の唇はキスマークの形を崩さない。
「お話、するんじゃなかったんですか」
男の上に乗っている時の作法であれば心得ている。
腰掛けた椅子を愛しい者だと思い込み、切なそうに見つめながら、じりじりとにじり寄り、股間の周辺を触って反応を窺う。
好感触を得られるまで断続的にそれを続けた後、元気になったソレに少しだけタッチして、じれったそうに下着とその下の陰核を擦り付ければ、後は黙っていても理性の切れた男の方から最後までしてくれる。
しかし、それとは全く勝手が違う。
相手は女性。
それも筋金入りの女王様ときたら、私はどう動くのが正解だろう。
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