50 / 171
竜舌蘭
第二十五夜
しおりを挟む「多分、今までとそんな変わらないけど」
少し赤みの差した頬は、チークのせいか。テキーラのせいか。
――――私のせいだったら良いのに。
でも、焦ることはない。
彼女を照れさせるチャンスは、この先何度でも巡ってくる筈だ。
「そうですかね。私はすごくスッキリした感じしますけど」
医者にかかれば病名が付くように、どんなに曖昧な関係であろうと、付けようと思えば名前などいくらでも付けられる。
そこまでして意味付けする必要性はあるのかとも思うし、そんな名前に価値など付くかはわからないが、私はずっと、もうずっと、彼女と特別な関係になりたくて仕方なかった。
「なら、良かった」
モヒートで口の中をスッキリさせても拭えなかった不快感は、たった今、取り払われた。
何杯分ものモヒート相手に、一人で完勝を収めた彼女をぼうっと見つめていると。
「翠。……それ終わったら、出よっか」
紅さんのグラスはどちらも空になっていたが、普段より明らかに飲酒量が少ない。
「珍しいですね。もう良いんですか?」
「ん。飲みたくなったらウチで飲み直すし、今は帰ってしたい事あるから。でも、翠が飲みたければ、もう一杯頼む」
「いえ、私も今は大丈夫です。したい事……と、してほしい事もいっぱいありますし、大体が人前では出来ない事ですから」
「……特別なキスしてあげるから、翠は妄想の内容、聞かせてね」
残りを急いで飲み干したのは、早く二人きりになりたかったから。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる