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第4章 夕べの調べ
第7話? ■■の××について<Ⅶ>
しおりを挟む――――とはいえ、延々と同じことについて論じていても、埒が明かない。
別の方向から考えてみよう。細かく切り分けて、ひとつひとつ見ていけば、これらを読み解く手がかりも見つかるかもしれない。
いきなり■■の××の謎に迫ろうとするから、きっと行き詰まってしまったんだ。
彼らの××について考えるのは一旦やめて、普段の声について考えていこう。
通常の会話時に、つまり■■の声そのものが人間の精神に及ぼす影響というのは……どうなんだろうな。
①声そのものが特別な響きを持っているため、××と同じく作用する。
②調べに乗せることで、特殊な音波が発生し、それにより人々を惑わせている。
ざっくりわけて、ふた通りの考え方ができるのではないかと思うが、まずは②の場合から見ていくことにする。
門外漢だし、いい加減なことを言ってしまっている可能性はあるが、人間でも話すときと歌うときの声は多少違ってくるだろう。
それと同じで、『会話時と歌唱時では、喉延いては声帯の使い方が異なる』というだけの話だ。
ただ、その場合も『彼ら自身の意志で、どの程度制御可能なのか』などについては不明瞭だ。
不可能であるという線も無視できないが、効果が効果だ。制御可能なのであれば、そうであってほしいが。
仮に①が正解だった場合、日常生活に支障をきたす恐れがあるが、『声を発する機会がない』のだとしたら、どうだ?
僕たちは人間だ。
人間はさまざまな手段を駆使して他者と意思の疎通を図るが、最も代表的なものとして挙げられるのが言語によるものではないか。
当然、なにがしかの事情があれば文字で伝達することもあるだろうが、日常生活では口頭で伝えることが多いだろう。要は会話だ。
■■も――内臓のつくりなど視認できない部分はさておき――上半身は僕たちと同じに見えるから、『平素より仲間内で会話を行っている』なんていう先入観を抱きがちだが、実態はそうではないかもしれないということだ。
『■■が美しい声を持つ理由』について私見を述べた際にも少し触れたと記憶しているが――――。
ああ! ●中における■■の意思疎通手段については、まだ話していないのか。失念していた。
そちらから先に片付けてしまったほうがよさそうだな。
我々と同じく、彼らもまた単一の方法で意思の疎通を行っているわけではなく、幾通りかの手段を併用していることだろう。
人間と交流するときには、こちらに合わせてくれているのだろうな。世界各国で出会った■■たちは、僕の話せる言語のいずれかを使って会話してくれた。
だが、●中でもそうとは限らない。
危険生物がうじゃうじゃいるのは地上もそうだが、●中に砦や要塞を築くのは困難だ。
沈没船などの素材を用いて簡易的な住居を作ることも可能だろうが、耐久面や防御面で優れているとは言いがたい。
なにが言いたいかというと、『●中では、声を発することによるうまみが少ない』ということだ。
脅威に対して、自ら『ここにいる』と教えているようなものだからな。
仲間と意思確認をするたびに命を危険に晒すなど、割に合わないと思わないか?
――――以上のことが、■■が会話を主たる意思疎通手段としていないのではないかと考える、ひとつめの理由だ。
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