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第4章 夕べの調べ
第6話? ■■の××について<Ⅵ>
しおりを挟む『それだけか』?
作者がひどい趣味をしているらしいことは、これまでの展開でわかっているだろうに。
こんなのは、ほんの序の口。本当の悲劇はここからだ。
次に、その■■は……●のなかから、催眠状態の●賊たちに呼びかけた。
『こちらへおいで』と。
●賊たちは、幻覚でできた酒の●に、続々と飛び込んだ。
その■■は、歌だけでなく口もうまかったから、彼らを飲酒へと駆り立てたんだ。
『飲んでも飲み尽くせないほどの酒がある』と。『溺れる夢さえ叶う』と。
●賊たちは、一心不乱に●水を飲み、命を落としていった。
実際にそこが酒の●でもただでは済まなかったとはいえ、真実、酒に溺れて死ぬなら本望だったろう。
――――だが、そうではなかったんだ。
酒に見えていただけの●水をがぶ飲みして、彼らは全員、帰らぬ人となった。
直接の死因がそうでない者もいた気はしたが、全員死亡という部分は変わらない。
●賊たちを擁護するつもりは毛ほどもないが、彼らが生前、どのような悪事を働いていたとしても、そんな死に方はむごすぎるだろう。
……まあ、極上の気分で逝けたんだ。その一点に鑑みれば、上等な死にざまと言えるのかもしれないが。
『そこまでする必要はなかった』?
そういう感想も出てくるだろう。想定の範囲内だ。
この時点では、『■■の肉を食らうことで不老長寿を得られると知った人間たちが実際に■■の乱獲に乗り出す』などの実害が出ているわけでもないのは確かだからな。
では、不本意ながら、僕の見解を記しておくが――――。
対立する二国は、●底火山の直上と魔の●域の直下にあったと見られる。
いずれも、生命が息づいているなんて思いもしないような場所だ。人間なら。
実際にさまざまな地域の■■と交流を持ってきた僕の持論だが、そういった厳しい環境に住まう■■ほど、人間に対する警戒心が高い傾向にある。
察するに、因果関係が逆なんだろう。
彼らは人間を嫌うあまり、厳しい環境に住み処を求めたんじゃないか。
自然現象で命を落とすことになったとしても、人間に近寄りたくはないということかもしれない。
■■ではない僕には、想像することしかできないがね。
……さて、ここでもうひとつ。
君はすでに気付いているだろうが、その●賊たちは、■■の肉を食らわされたときにも催眠をかけられていたはずだ。
つまるところ、この物語のなかで、■■の××は『対象の精神状態に深く介入してしまう恐ろしい術』として描かれているのではないか。
以上を踏まえたうえで再考してみたが――――僕は、以前の仮説を訂正する必要があるかもしれないという結論に至った。
なぜなら、『■■の××には、聴く者を意のままに操ることのできる力がある』可能性が浮上してきたからだ。
もしこの新説が正しいのだとしたら恐ろしいことこのうえないし、実体験と照らし合わせても首を傾げる部分が多い。
僕が催眠をかけてもらったのは、一度だけだ。
あのときは彼女が手加減をしてくれていたのか、あるいは彼女の××自体が強力ではなかったのか定かではないが、強制力は感じなかった。
また、物語の■■が自身の思いどおりに事が運ぶよう暗示をかけたのに対し、彼女は僕の裡にある願望を引き摺り出したに過ぎない。
催眠作用それ自体は間違いなく強力だったと思うが……どういう差が両者の違いを生み出しているんだろうな。
今回取り上げた物語と僕の体験談を比較したとき、最初に候補として挙がりそうなのは悪意の有無だが、そういった精神的なものが力の方向性を決定付けるとは考えにくい。
『そもそもの話、片一方は物語の描写なのだから、参考にはならないだろう』って?
それもそうかもしれないが、物語という体裁を取らなければ生き残れなかった実話のなかから、『後世に語り継ぎたかった部分』を抽出するのも、僕の仕事なんだ。
<参考文献もとい関連作品>
・『やがて●はすべてを食らう』
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