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We hope your Halloween is a ”Treat”!
We hope your Halloween is a ”Treat”!【37】
しおりを挟む「うん。まさか、命の危機的な?」
余命宣告される覚悟で尋ねた声は、びっくりするほどいつもどおりだった。
「カリンに出会ったのは……パトロールを始めて間もない頃でしたし、人体に害を及ぼすほどの瘴気は取り込んではいないでしょうが」
パックは涼しい顔で言い放ったけど、たぶんそれ念には念を入れて最低二回は言っといたほうがいいやつ。
ゼロカロリー食品または飲料が全然ゼロカロリーじゃないみたいに、『基準値の範囲内だから無害』ってことでしょ。
大気中に存在する有害物質だったらそれでいいと思うけど、瘴気までそういうのと同じ扱いはヤバすぎますて。
あー、大変だ。……いや、ハチミツ舐めてる場合じゃねぇ!!
「え? 聞き間違いじゃないよね? 瘴気? 瘴気って言った?」
『わー、瘴気だ! 私、瘴気大好き!』なんて言うと思うか? もしそんなこと言ってたら正気じゃないって。
「うん。言ったね」
「『瘴気』って普通に生きてて聞くことある単語だったんだ……。っていうか、瘴気自体あると思ってなかったな。そんなわかりやすく中二病ってる人周りにいなかったし、アニメとかゲームの世界にしかないもんだとばかり」
なんか急に流れ変わってきたな。
どうせならもっと楽しげな文脈で使いたかった、このミーム!(奇跡的に短歌のリズムで踊ってた)
「うふふふ。『瘴気』はあるよぉ? みんなに見えてるわけじゃないみたいだけど、よくない場所とか悪い人とか人間界のあちこちに漂ってる。……って言ったら、カリンは信じてくれる?」
「うーん……。私も見えない側の人間だけど、排気ガスとかタバコとかの臭いはしないのに、やたら空気淀んでるなって感じる場所はあるよ。そういうのがきっとチルの言ってる『瘴気が漂ってる場所』? だとしたら、まあ……」
「概ね正解だが、『漂っている』程度ではなく『満ちている』場所もあるぞ」
「えぇ……『満ちてる』って一体どんな…………あ、樹海とか崖とかがそう? いかにもって感じだもんね~」
満ちていいのは月といい匂いだけだよ……。
「……えーっと、カリンちゃん? もしかしなくても自殺スポット挙げてない?」
「さっすがヴィニー。大正解。死者が死者を呼ぶっていうか……死んだ自覚がない人がお仲間(になる予定の人)を引き寄せて、悪い意味で背中押しちゃう的な感じかと思ったんだけど、違った?」
「そういった場所にも瘴気が溜まりやすいのは確かだが……。いちばん瘴気が濃くなるのは、『大勢の人間が集まる場所』だ。特にあのイベント会場はひどいものだった。ゴミも多かったが、それ以上に瘴気が溜まって……冥界でも最も空気の悪い場所のほうがよほどマシだと思える程度にはひどかった」
スーがため息をついた。
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